【主流になり得る実力者】BMW i4 M50 xドライブ プロトタイプへ初試乗 最大543ps 前編

公開 : 2021.06.08 08:25

M3コンペティションより33psもパワフル

プロトタイプということで車内の大部分はカバーで覆われていたが、運転姿勢や操作系の人間工学などは筆者にもしっくり来る印象。日常的な移動とスポーティな走りとを融合させたクルマとして、とても正しい車内だと感じた。

ただし、車内空間や荷室容量は3シリーズには及ばない。フロントシート側は広いものの、リアシートはカーブを描くルーフラインの影響で頭上空間に制限がある。荷室容量も、3シリーズより60L小さい420Lとなっている。

BMW i4 M50 xドライブ・プロトタイプ
BMW i4 M50 xドライブ・プロトタイプ

試乗したM50 xドライブの純EVパワートレインは、BMWの第5世代に当たり、基本的にはiXと共通。フロントに258psの電気モーターが載り、リアに312psの電気モーターが組み合わされる。

システム総合での最高出力は543psに達し、M3コンペティションが搭載する3.0L直6ツインターボより33psもハイパワーだ。最大トルクもたくましい。システム総合で80.8kg-mという数値は、M3コンペティションより14.7kg-mも上回る。

このフルパワーを引き出せるのは、スポーツブースト・モードを選んだ時の短時間のみ。ほかのモードでは、システム総合で475psと74.2kg-mへ制限される。

フロア下に敷かれるバッテリーは、実容量で80.7kWhのリチウムイオン。72個のセルで構成するモジュールが4つ組み合わされ、フロアパンにボルトで固定される。バッテリーのケースは、ボディ剛性の向上にも役立つという。

従来ドライブシャフトが走っていたセンタートンネル内にも、バッテリーが詰め込まれている。こちらは12のセルで構成されるモジュールが3つ。無駄にした空間はない。

航続距離はM50 xドライブで510km

i4の新しいバッテリーは、NMC811と呼ばれ箱型の形状をしており、7年前のi3比でエネルギー密度を40%も向上させたとしている。その結果、M50 xドライブの航続距離は510kmに達する。

後輪駆動のi4 eドライブ 40は、さらに85kmも長く走れる。動作電圧は400Vで、DC急速充電器は最大210kWの容量まで許容できるという。

BMW i4 M50 xドライブ・プロトタイプ
BMW i4 M50 xドライブ・プロトタイプ

予習はこのくらいにして、i4を運転してみよう。センターコンソールのボタンを押して、i4 M50を始動させる。電気的な唸り音も聞こえず、車内は沈黙が続く。アクセルペダルを踏むと、驚くほどスムーズに発進した。

前後2基のモーターは、極めてレスポンスが良い。アクセルペダルの操作に対する反応具合も見事で、必要なパワーを狙った通りに引き出せる。走りの質感は上質。余裕あるパワーを簡単に引き出せるから、毎日の運転を安楽にこなせるだろう。

郊外の開けた道へ足を伸ばせば、Mパフォーマンスを名乗るに相応しい活力を発揮させて、感嘆のドライビング体験を得られる。スポーツブースト・モードへ切り替えると、さらなる68psと6.6kg-mを召喚でき、アクセルレスポンスも高まる。

静止状態からの加速も鋭い。目をみはるほどリニアに速度を上昇させ、i4を力強く推し進めていく。豊かなトルクが軽くない車重を受け止め、中間加速も強烈。しかもスピードメーターの数字が160km/hに届くまで、加速度は衰えない。

この続きは後編にて。

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