【主流になり得る実力者】BMW i4 M50 xドライブ プロトタイプへ初試乗 最大543ps 後編
公開 : 2021.06.08 19:05
秀逸のハンドリングと質量の制御
これらの組み合わせで、i4のダイナミクス特性は非常にまとまりが良い。M3のような路面への見事な追従性までは得られていないものの、スポーティなドライブモード時のハンドリングは秀逸。質量の制御も際立っている。
i4が軽くはないことは常に伝わってくるが、前後の重量配分はM50 xドライブで48:52と良好。実際のバランス感も素晴らしい。
電動パワーステアリングはフィードバックが充分とはいえないながら、回頭性は機敏。BMW Mのエンブレムを備えるだけの、積極性を感じ取れる。
グリップ力も感心するほどに高い。i4のxドライブは基本的に後輪が主役となるようにプログラムされ、高速コーナリング時には、電子制御デフによるトルクベクタリングが機能する感覚も得られる。
一方でニュートラルな姿勢を維持するように、フロントタイヤの介入も比較的早い。コーナリング中は安心感に溢れ、出口では豊かなトルクを開放させ力強く脱出できる。
旋回時の早い段階でアクセルペダルを踏みすぎると、アンダーステアが顔を出す。だが滑らかで漸進的なレスポンスのおかげで、修正も容易だ。
M50 xドライブのスポーティ度を示すように、シャシーの設定は硬め。車高が持ち上げられたことで、うねりのあるような路面では少し浮遊する挙動を示すこともある。だが全般的に姿勢制御は優秀で、流暢な足さばきを実現している。
夢中になれる操縦性と優れた快適性
乗り心地は、エアスプリングの助けもあり、まとまりが良い。細かく波打った区間を通過したり、ワダチを横切るような場面では、少し落ち着かない場面もある。それでもアダプティブダンパーが素早く反応し、洗練性を感じる快適さを保とうとしてくれる。
総合的な動的性能としては、M3に匹敵することはない。それでも、i4 M50 xドライブに独自の魅力が備わっていることは確かだ。完成前のプロトタイプへの試乗だったが、特別な純EVサルーンであることは充分に理解できた。
プラットフォームやサスペンションまわりなどは、内燃エンジンモデルと共有するにも関わらず、非常に完成度は高いと感じた。説明を聞かなければ、純EV用のプラットフォームを採用していると勘違いするほど。
BMW i4 M50 xドライブの並外れたパフォーマンスには、唸らされる。ドライビング体験の充足感はとても高い。運転にこだわりを持つドライバーでも夢中になれる操縦性と、優れた快適性を兼ね備えているようだ。
大容量バッテリーで実現した510kmという航続距離と、知的な回生システムや急速充電能力も、明確なストロングポイント。従来のモデルに置き換わる新しいBMWとして、訴求力の高い4ドアサルーンになることは間違いないだろう。
英国での販売は、2021年9月にスタートする予定だ。
BMW i4 M50 xドライブ・プロトタイプのスペック
英国価格:未定
全長:4785mm
全幅:1852mm
全高:1448mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:3.9秒
航続距離:510km
電費:4.1-5.3km/kWh
CO2排出量:0g/km
車両重量:−
パワートレイン:ツインAC非同期モーター
バッテリー:80.7kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:543ps(スポーツブースト・モード時)
最大トルク:80.8kg-m(スポーツブースト・モード時)
ギアボックス:シングルスピード・ダイレクトドライブ