【ディーゼルの生む恩恵】ランドローバー・ディフェンダー110 D300へ試乗 清々しい速さ
公開 : 2021.06.12 08:25 更新 : 2023.06.13 12:46
感心させられるほどの洗練度
高速道路の中央車線を90km/hくらいで走っているトラックがいても、車線変更してアクセルペダルを踏むだけ。5秒後には、バックミラーに映る姿を見れるだろう。河原の土手が40度の急斜面でも問題なし。ゆっくり、トルクフルに登ってくれる。
先代のイメージを受け継いだスタイリングには、象徴的な雰囲気がある。だがそれ以上に、大排気量のディーゼルエンジンと知的な四輪駆動システムという組み合わせが生む、全方位的な実用性や走破性に疑問の余地はない。
じっくり味わえば、アクセルの鋭い操作に対して反応が若干遅れる印象は受ける。でもすぐに6気筒エンジンが本腰を入れ、求めた加速を引き出してくれる。
ガソリンのディフェンダーよりエンジンノイズは聞こえてくるが、先代のディフェンダーほど息苦しそうな質感ではない。速度が一定になればボリュームは下がり、落ち着いた車内に浸っていられる。
違和感のない、8速ATのセットアップも居心地の良い雰囲気に貢献している。素早く変速をこなし、タイミングもまったく気になるところがなかった。
全体の動的性能としては、D300も最新のディフェンダーの印象をほぼ共有している。感するほど洗練されている。
エアサスペンションは、SEグレードでは標準装備。直線走行時の滑らかさや、路面からの入力を上手になだめてくれる。一方で、大きなうねりやロールといったボディの動きは、完全には抑えきれないようだ。
日常にも馴染みやすいパワフルな選択肢
ディフェンダーは、比較的穏やかな速度で郊外の道を走らせるのが良い。急加速を求めると上下動も感取されるから、快適さを求めるなら節度ある操作は不可欠といえる。
SEグレードのディフェンダーD300の英国価格は、6万8295ポンド(1024万円)に達してしまう。SUV好きでも、思わず考えさせられてしまう値段だと思う。
CO2の排出量は多く、英国では税制的な負担が高いうえに、ランニングコストも安くはない。客観的に捉えれば、より環境負荷の小さいモデルほどオススメすることは難しい。
とはいえ、一層パワフルなV8ガソリンターボ版なら、ガソリンスタンドへ立ち寄る回数はD300以上に多いはず。価格も10万ポンド(1500万円)は超えてくる。
新しいディフェンダーのルックスに惹かれて、ファミリーSUVでストリートレースに興じるつもりがないのなら、パワフルなD300は悪くない選択肢だと思う。十分活発な直線加速も楽しめるし、毎日の暮らしにも馴染みやすいといえるだろう。
ランドローバー・ディフェンダー110 D300 SE(英国仕様)のスペック
価格:6万8295ポンド(1024万円)
全長:4945mm
全幅:1995mm
全高:1970mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:7.0秒
燃費:10.5-11.4km/L
CO2排出量:230-249g/km
車両重量:2340kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:300ps/4000rpm
最大トルク:66.1kg-m/1500-2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック