【木製シャシーにBMW V8】モーガン・エアロ8 英国版中古車ガイド モデルライフ18年
公開 : 2021.06.13 08:25 更新 : 2021.07.12 18:45
2000年に発表されたエアロ8。伝統的手法と現代性が融合した、新時代モーガンと呼べる1台でした。英国編集部が中古車の魅力をご紹介します。
もくじ
ーBMW社製のV8エンジンを搭載
ーシリーズ4からは4.8Lへ排気量を拡大
ーシリーズを通して進化や改良は限定的
ー専門家の意見を聞いてみる
ー不具合を起こしやすいポイント
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
ー英国で掘り出し物を発見
BMW社製のV8エンジンを搭載
21世紀のモーガンとしてやや遅れて登場した、最新のプラス・シックス。軽量なアルミニウム製シャシーに、パワフルな直列6気筒ターボエンジンを載せ、独立懸架式のサスペンションを採用している。
英国マルバーンを拠点とするモーガンの設計思想を、正常進化させたモデルとはいいにくい。初代のモーガン・プラス・フォーとは大きく異なるクルマだが、それでもモーガンの魅力は備わっている。
一方で、2000年のジュネーブショーで発表されたのがモーガン・エアロ8。伝統主義を貫くという姿勢は、スポーツカーの成功を継続させるには不可欠な要素でもある。しかし、寄り目のニューモデルは、期待以上にモダナイズされていた。
エアロ8は、正真正銘のモーガンによる現代的なスポーツカーだ。BMW社製のV8エンジンを搭載し、0-100km/h加速は4.8秒と競争力も充分にある。
インボード・レイアウトのショックアブソーバーに、ダブルウイッシュボーン式のサスペンション、APレーシング社製の高性能ブレーキも獲得。動的な性能にも不足はない。
さらにエアコンやクルーズコントロール、ヒーター機能付きのフロントガラスなども獲得し、装備も充実。従来のモーガンとは別の次元のクルマに仕立てられていた。
ただし、モーガンらしさも健在。シャシーはセイヨウトネリコの木枠が主要構造をなし、左右非対称のダッシュボードは金属製。メーターやスイッチが盛大に並ぶ様子は、1960年代の飛行機のコクピットに見えなくもない。すべてが正常に動いていれば。
シリーズ4からは4.8Lへ排気量を拡大
2000年から2004年に生み出された、シリーズ1のエアロ8の台数は200台ほど。今でも英国の中古車サイトには、定期的に販売希望のクルマが出てくる。
その後シリーズ2へバトンタッチ。わずかな設計変更を受けアメリカの安全基準にも準拠し、車内空間も拡大された。エンジンもかなりのパワーアップを実現していたが、生産はわずか1年のみ。多くが個人のコレクションと化している。
シリーズ2を挟み、2005年にフェイスリフトを受けたシリーズ3が登場。それまでフォルクスワーゲン・ニュービートル用のヘッドライトを流用していたが、この代からミニのものへスイッチ。レトロな魅力を保ちつつ、現代化された雰囲気になっている。
メカニズム関係はシリーズ3までほとんど手つかずだったが、2007年、367psを発揮するBMW社製4.8L V8エンジンを搭載してシリーズ4が登場。この年からはロードスターも追加された。
BMWは、自社の搭載モデルが生産終了となっても、V8エンジンをモーガンのために製造し続けた。なんと親切な会社なのだろう。
シリーズ4では6速MTに加えて、6速ATも登場。スポーツモードも備え、MTより優れた直線加速性能をエアロ8へ与えている。
これ以外のモデルバリエーションとして、ボートテールを備えるエアロ・マックスやタルガトップのスーパースポーツなど、少量の高級モデルもモデル末期に登場した。