【実力あるのに……】時代を先取りし過ぎて売れず 不運な名車4選
公開 : 2021.06.09 05:45 更新 : 2021.10.13 12:12
「SUV風軽自動車」今ではよく見るけど……
ワゴンRで大ヒットを記録したスズキが、更なる新ジャンルの開拓を目指して生み出した、セダンとSUVの中間となるモデルとして1998年にリリースしたのがKeiである。
当時のコンセプトは日常の足としての軽から脱却し、ロングツーリングをもこなすスペシャリティ軽というもので、高めのアイポイントでありながら、立体駐車場にも対応できる全高となっていた。
また、同社のジムニーほどではないものの、ある程度のオフロード走行も許容できる高い最低地上高を備え、当時RAV4やCR-Vが切り開いたライトクロカンというジャンルに属するモデルに仕上がっていたのだ。
デビュー当初はスペシャリティカーらしく3ドアボディのみのラインナップとなっていたが、デビュー翌年には使い勝手に優れた5ドアモデルも追加。結果的にジムニーとキャラクターが被る3ドアモデルは2000年に廃止となり、その後は5ドアボディのみが販売されることとなっている。
今でいうところのクロスオーバーSUV軽であるKeiだったが、2000年にはエアロパーツやローダウンサスペンションを備えた「スポーツ」グレードが追加され、2001年からはワンメイクレースとなる「Keiスポーツカップ」がスタート。
2002年には「Keiワークス」と名前を変え、アルトワークスの後継を担うなど、やや迷走ともいえる変遷をみせていた。
結局1998年から2009年まで販売という長寿モデルになったKeiだったが、ハスラーはタフトが人気を集めているところを見ると、もう少し時代の波に乗れていたらという想いが頭をよぎってしまう。
他が追従せず……スーパーハイト軽
今では街で見ない日はないと言っても過言ではないほど大人気となっているのが、軽のスーパーハイトワゴンと呼ばれるモデル。
ボディサイズが決められている軽自動車はこれ以上ボディサイズを拡大することができないが、縦方向であればまだ伸ばすことができるということで、全高を高めたモデルをそう呼んでいる。
全高を高めることで乗員をアップライトに座らせることができ、見晴らしがよくなるうえに室内スペースを広く採ることができるということで、子育て世代のファミリーを中心に爆発的なヒットとなっているというワケだ。
そんな全高を高めた軽自動車の元祖ともいえるのが、1990年に登場したミニカ・トッポである。
トールワゴンの元祖であるワゴンRよりも先に登場したミニカ・トッポは、一般的な軽セダンであるミニカをベースに圧倒的に背の高いキャビンを組み合わせたもの。
過去にはフルゴネットタイプのアルト・ハッスルやミラ・ウォークスルーバンなども存在していたが、乗用も想定しているという点がミニカ・トッポの違いといえるだろう。
ただ、着座位置などは高められていたものの、頭上スペースを有効活用できていたかというとやや疑問の残る仕上がりだったことが、ヒット車種にならなかった要因だった。
今のように他メーカーも追従していれば、切磋琢磨されて完成度が上がっていたかもしれないと思うと残念である。