【年間250万トンの削減目標】ボルボ 部品再利用で排出量削減 EV用バッテリーの長寿命化も

公開 : 2021.06.09 07:05  更新 : 2021.07.08 13:04

使用済みバッテリーは電力網に

経年劣化により容量が低下した高電圧バッテリーを再利用することは、バッテリー製造時の環境負荷を低減するために有効な手段であると自動車業界では広く認識されている。

ボルボのトラクション・バッテリー開発責任者であるウルリック・パーソンは、この方法によってEV用バッテリーの寿命を20年以上に延ばすことができると考えている。EV用バッテリーは、激しいサイクルの中で過酷に働かされる。

ボルボはEVをオンラインのみで販売するなど、ビジネスモデルを大きく変えようとしている。
ボルボはEVをオンラインのみで販売するなど、ビジネスモデルを大きく変えようとしている。

「急速充電は、高速道路の走行と同様に激しいサイクルの一例であり、充放電でバッテリーシステムに非常に速く電力を流すことになります」

例えば、グリッド・バランシング(ピーク時以外に発電された余剰電力をバッテリーに蓄え、ピーク時に電力網へ供給すること)のような用途では、バッテリーにかかる負担はずっと穏やかなものだ。

古いEVのバッテリーをグリッド・バランシングに使用することは、風力発電やソーラーパネルによる持続可能なエネルギー生成に加えて、大量のエネルギーを確保できる貴重な方法と言える。

「バッテリーシステムは、それぞれの用途に合わせて設計する必要があります」とパーソンは言う。

用途に応じたバッテリーの容量によって、サイクルの深さや浅さが決まる。バッテリーシステムを深く放電せず、容量の一部だけを使用する限り、寿命を延ばすことができるとパーソンは考えている。

「わたし達のバッテリーシステムの設計寿命は15年です。正しい使い方をすれば、さらに5年、10年とバッテリーの寿命を延ばすことができると思います。時間が経てば、他の要因も影響してくるでしょう。バッテリーは、サイクルだけでなく、経年や温度によっても劣化します」

バッテリーの寿命が尽きた後は、できるだけ多くの材料を回収してリサイクルすることを目指している。

「循環型経済を実現するためには、仕入れた材料をすべて貴重なものとして扱わなければなりません。わたし達は、ヨーテボリのチャルマース工科大学で行われているバッテリー材料の湿式製錬抽出に関する大規模な研究に参加しています」

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