ボルボV40 D2 SE

公開 : 2012.05.26 18:07　　更新 : 2017.05.29 19:09

■どんなクルマ？

ボルボは新しいV40で、多くのことを証明しようとしている。前の所有者であるフォードの下で開発がされなかったモデルであり、言い換えれば新しい中国人の所有の下のボルボとして初のモデルがこのV40なのだ。

最も戦いの激しいクラスに投入されたV40は、英国では確固たる目標がある。それは2013年に記録した12,000台を販売することである。

そのクーペおよびエステートのボディはもちろんボルボのオリジナルであるが、基本的にそのシャシーはフォード・フォーカスのものを使用している。

■どんな感じ？

ボルボは、このクルマに彼らのオリジナリティを注ぎ込む努力を惜しまなかった。その結果が成功につながっているといえる。あなたは、決してこのクルマがフォード・フォーカスだとは思わないはずだ。

低くストレッチさらたボディ・シェイプは、すべてのボルボに繋がるデザインで、傾斜したスクリーン、特徴的な”口”、リアの誇張されたショルダーなどは、1960年代の1800ESを思い起こさせるデザインでもある。

世界初の歩行者用エアバッグが、すべてのV40に標準で装備されるが、これはボンネット後方からエアバッグが飛び出して歩行者を保護しようというものだ。それはただ単に命を助けるというだけでなく、クルマの存在自体を良く見せることにも繋がっている。

もうひとつの素晴らしい安全装置は、シティ・セーフティである。そのレーダー・システムは、あなたが見つけられなかった歩行者がいた場合に、自動的にブレーキをかけてくれるというものだ。

V40には3つのトリム・レベルが用意されている。あなたが必要とするすべてが装備されるES、キーレス・エントリーや雨滴感応型ワイパーを持つSE、そして革張りで可変ヘッドランプを持つSE Luxだ。

エンジンは5つ。3台のターボ・ディーゼル(4気筒1.6リッターが1つ、5気筒1.6リッターが２つ)と、150bhpと180bhpの4気筒1.6リッター・ガソリン・ターボだ。そのエンジンはすべてフォードのエンジン・レンジから持ってこられたものである。

自動車税が免除される94g/kmというCO2排出量をマークするという理由から、1.6リッターのディーゼルD2を試乗車に選んだ。もちろん、英国では最も大きなセールスを示すだろうモデルである。

滑らかな6速ギアボックスのおかげもあって、114bhpの4気筒エンジンは、190km/hの最高速に達するだけでなく、0-100km/h加速も11.7秒というタイムを稼ぎだす。なんとかスポーティということができるギリギリのレベルである。それでいて、燃費は27.8km/lをマークするのだ。

このような数字だけを見せられると、バケットシート(ボルボの最高基準に達しているものだ)に座って、寂しいチープなモデルを運転することになると思うだろう。しかし、それは違う。

ギアシフトはエクセレントという形容詞が与えられる。そのギアを上手く活かして、エンジンを1750rpmから2500rpmというピーク・トルクの発生する領域に収めておけば、静かで速いドライブが可能だ。しかも、それはそれ以上の回転域が不得意というわけではない。その気になれば3桁のマイル(160km/h)でのクルージングが可能だ。

インテリアのクオリティも印象的だ。オプションとはなるが、まったく新しいデジタルインストルメント・パックはおすすめの装備だ。エレガンス、エコ、パフォーマンスという3つのモードを選択することが可能だが、その表示だけでなくクルマの性格も変化するのだ。

ボルボV40が本当に革命的なのはそのダイナミクスにある。乗り心地とハンドリングのバランスは、ライバル達よりも上回る。フォーカスのランニング・ギアを使いながらも、ブッシュ、スプリング・レート、ダンパー・セッティングを変更したことによって、優雅な乗り心地と素晴らしいステアリング・フィールをもたらしてくれるのだ。まさに、作り手の主張が表れている部分と言って良いだろう。

このクルマについて、批判的な何かを探すのは本当に難しいことだと言えよう。

■「買い」か？

めずらしく、われわれが本当に推薦することができるクルマである。もちろん、この試乗だけでなくロード・テストを行わなければならないかもしれない。しかしV40が新しいアウディA3やBMW 1シリーズと同じレベルにあることだけは明白だ。

ボルボが、このモデルで何を成し遂げるかに注目したい。その資本は中国の手のものとなったが、同社が信頼できるモデルを生産し続けることは証明できた。

全体的に、本当に素晴らしい1台であった。

(スティーブ・クロプリー)