【100周年を祝った眩しい緑】3番目に古いシトロエンDS 19 レストアに17年 前編

公開 : 2021.06.27 07:05

初期型に限られる特徴的なディティール

結果として少なくないDSが長い年数をかけて生み出されたが、初期のクルマがほとんど残っていない理由は理解できる。壊れやすいというDSに対する考え方が、多くの人に浸透した理由も。

過去数十年間、われわれが目にするシトロエンDSの多くは後期型のパラス。大抵はインジェクション・エンジンを載せ、ボディは落ち着いた色のメタリック塗装で仕上げられている。トラブルフリーではないにしろ。

シトロエンDS 19(1956年/欧州仕様)
シトロエンDS 19(1956年/欧州仕様)

ところが初期のDSは、実は色鮮やかなクルマだった。目立つパステルカラーで塗られ、印象的なファブリックの内装に、当時のデザイナーが好んだ明るいプラスティック製パネルが組み合わされていた。

シャンパンイエローのルーフに、ヴェール・プランタンと呼ばれるグリーンのボディでコーディネートされた、エマヌエーレ・フィリッピーニのDS 19。サングラスをかけていても、イタリアの陽光の下では目に眩しい。

この明るいグリーンは、1956年のDSにしか塗られなかった。レア度を一層高めている。

ディティールを観察してみよう。1959年8月より前に生産されたDSには、オリジナルの6ウインドウのボディに、短くずんぐりとしたリア周りが付いている。1964年のパラスでは、フェイスリフトで変更されてしまった。

リアフェンダーには、スリムなアルミ製のリフレクター・ハウジングが添えられている。ルーフの左右には、フロントから伸びるコーン状のクロームメッキ・モールが付き、後端にウインカーが内蔵されている。なんとも美しい。

この続きは後編にて。

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