【極上のメカニカルな質感】マツダMX-5(ロードスター) 英国特別仕様車へ試乗
公開 : 2021.06.18 08:25
軽い車重とバランスの良い操縦性
最高出力が得られるのは7000rpmまで回してから。レブリミットまでリニアにパワーが放出され、反応も良く、低回転域中心の市街地でも扱いやすい。もちろん回転数を大きく上下させた方が、生き生きと運転できる。
直線加速の鋭さを比べれば、新しいホットハッチが優勢。そんなクルマとは肩を並べず、コーナーを滑らかにクリアすれば、より豊かな至福感が得られる。スピードは関係ない。
特別仕様車といっても、メカニズム的な変更はなし。軽量な車重とバランスの良い操縦性が融合し、ロードスターは運転する喜びに満ちている。
攻め立てた走りをしても、グリップ力は充分。リアタイヤを外側にスライドさせることも可能だが、2.0Lエンジン以上に熱心な運転が求められる。シャシーは懐が深く、落ち着きを取り戻すのも簡単だ。
荷室容量は小さく、ソフトトップを閉じても風切り音は大きい。日常的にロードスターを運転するというドライバーは、英国には多くいないかもしれない。だが、16インチのアルミホイールが日常性を高めている。
タイヤのゴムの高さが増えるぶん、乗り心地は柔らかい。17インチ・ホイールで試乗したRスポーツより、穏やかな走行フィーリングを生んでいる。
明るいレザーのインテリアは、ソフトトップを閉じても車内を開放的で軽い雰囲気にしてくれる。大空が見たくなったら、キャッチレバーを引いてスライドするだけ。数秒もあれば後ろへ畳むことができる。
英国でも一般道での訴求力は1.5Lが上
スマートフォンとの連携機能は、スポーツ・ベンチャーには標準装備。7.0インチのインフォテインメント用モニターは、センターコンソール上のロータリーコントローラーで操作でき、扱いやすい。
特別仕様車だからといって、希少なロードスターだというヒントはほとんどない。しかし、ドライバー中心のモデルとして、不満は感じないはず。
後輪駆動のオープン2シーターを、3万ポンド(462万円)以下の価格帯で探しているなら、候補はほぼ一択。ロードスターの直接的なライバルは存在しないといっていい。
BMW 2シリーズのカブリオレが一番近い競合かもしれないが、4シーターで、車重はかなり重い。動的特性の面では、比較にならないだろう。
サーキット走行を頻繁に楽しむような人でなければ、英国でも1.5Lエンジンの方がドライバーに対する訴求力は高い。公道の法定速度を守りつつ、2.0Lエンジン以上に、一体感のあるドライビング体験に浸ることができる。
特別仕様車を選ぶ価値は、人によって感じ方が異なると思う。目立つ仕立てではないものの、ダークブルーのボディにコンパクトなエンジン、明るいレザーという組み合わせに惹かれるなら、悪くないチョイスに違いない。
マツダMX-5(ロードスター)1.5 スポーツ・ベンチャー(英国仕様)のスペック
英国価格:2万7615ポンド(425万円)
全長:3915mm
全幅:1735mm
全高:1230mm
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:8.3秒
燃費:15.9km/L
CO2排出量:142g/km
車両重量:1106kg
パワートレイン:直列4気筒1496cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:132ps/7000rpm
最大トルク:15.4kg-m/4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル