【AUTOCARアワード2021】トーマス・インゲンラート スターメー賞 率直でクリエイティブなCEO
公開 : 2021.06.10 18:05
ポールスターの道を示すプリセプト
2020年のジュネーブ・モーターショー出展用のコンセプトモデルとして計画され、昨年9月に生産が決定した高級セダン「プリセプト」は、トーマス・インゲンラートが新ブランドに込めた野心を明確に示している。
プリセプトのエクステリアは、彼がポールスターのデザイン原則と位置づけているものをよく表現している。「超精密な幾何学的形状と、ソフトで彫刻的なボディ」だ。
プリセプトは、メルセデス・ベンツSクラスと同等の全長を持つピラーレスのセダンで、優美なパノラミックルーフを備えている。通常はリアウィンドウ用のスペースを作るリア構造を後方に移動させ(カメラで後方視界を確保)、さらに大型リアハッチを採用している。
また、従来のクルマにはラジエーターグリルがあるが、プリセプトのフロント部分にはカメラやレーダー機器を設置する「スマートゾーン」がある。「息をすることを見ることに置き換えるのです」とインゲンラスは語る。
インテリアには、リサイクルされたペットボトル、再生された漁網、廃棄されたワインボトルのコルク栓、亜麻など、さまざまな素材を使った軽くて丈夫な素材が採用されている。インゲンラートの言葉を借りれば、「ディストピア的なブルータリズムを、洗練されたハイテク・ミニマリズムに置き換えた」ということになる。
手を近づけると表示アイコンが大きくなるなど、ドライバーの気が散らないようにデザインされたタッチスクリーンが前面に配置されている。
来年発売予定の新型SUVに次ぐ、ポールスター4番目のモデルとなると考えられているプリセプトは、2024年までに市販モデルが発表される見込みだ。
一問一答集:ボルボとの違いは?
――世界はなぜ、新たな自動車ブランドを必要としたのか?
「既存ブランドですべてを成し遂げていると考えるのは傲慢です。また、他の地域(主に米国と中国)に、新しいものすべてを任せるわけにはいきません。わたし達は、独自の空間を持つブランドを作ることができると確信しています」
――導きの星
「わたし達(ポールスター=北極星)は、自分たちが導きの星であるという傲慢さを持つべきではありません。それは理想であり、目標であるというだけです。謙虚でなければならないのです」
――ポールスターとボルボの位置づけについて
「ポールスターとボルボというブランドは、まだ世間的には思ったような位置づけとはなっていません。両ブランドはあまりにも近すぎる。だからこそ、数年後のわたし達の姿を理解してもらうために、ポールスター・プリセプトというコンセプトを打ち出したのです」
「今のところ、ボルボの子供として見られるのは正しいことであり、その信頼性には大きな価値があります」
――2つのスウェーデンブランド
「歴史が証明しているように、これは完全にうまくいきます。過去にはサーブとボルボという、まったく異なる2つのスウェーデンブランドがありました。これは再びうまくいく可能性があります」
――シャシーの違い
「ポールスター2のシャシーは、ボルボでは受け入れられないでしょう。というのも、スピードバンプの乗り越え方が、後ろにいる子供たちには強く感じられてしまうからです。わたしは、それが自然な分離(差別化)につながることを期待しています」