【エキシージ・ロス】ロータス・エキシージ・ スポーツ390 ファイナルエディションへ試乗
公開 : 2021.06.19 08:25
トヨタ製3.5L V6にスーチャーで397ps
リアウイングのカタチに関係なく、エキシージの余命はあと僅か。ルノー・ルーテシアと同じくらいの面積に、ランボルギーニ・アヴェンタドール級のビジュアル・インパクトが凝縮されている。最後の輝きは強い。
ハードウェア的にはおなじみの構成。スポーツ390には、ウェットサンプのトヨタ社製3.5L V6ガソリンエンジンが横置きにミドシップされる。搭載位置は限りなく低い。
スポーツ350の350psから397psへパワーアップするため、スポーツ410に積まれていたエーデルブロック社製のスーパーチャージャーと、排気系統を登用している。インタークーラーも付き、ハードな走行を重ねても熱による影響は受けにくい。
APレーシング社製のスリット入りディスクで武装した強力なブレーキは、カップ430譲り。その恩恵も、しっかり味わえるだろう。
スポーツ390が、ほかのファイナルエディションと最も異なる点は、やはり公道を重視した特性。タイヤはサーキットに特化したミシュランのカップ2ではなく、パイロットスポーツ4Sを履く。この違いは、かなり大きい。
アルミホイールは17インチの鍛造で、ブランドは英国のリムストック。サスペンションはダブルウイッシュボーン式で、調整式ではないビルシュタイン・ダンパーとアンチロールバーが付く。スプリングはアイバッハ社製だ。
ちなみにスポーツ420と430には、3段階に調整できるナイトロン社製ダンパーとアンチロールバーが組まれる。
身体との一体感と濃密なフィードバック
ボディのエアロキットは、基本的にスポーツ350と同じ。だがフロントスプリッターは410からの流用で、273km/hで走行すると115kgのダウンフォースが生成されるという。カップ430では171kgに増える。
前置きが長くなったが、今まで通りエンジンに火を入れてコーナーへ侵入してみる。ファイナルエディションだということも忘れて、すぐさま興奮するドライビング体験へ引き込まれてしまう。
ポルシェ718ケイマン GT4とアルピーヌA110という宝石が生み出された現代でも、身体との一体感をこれほど強く意識するモデルは他にない。アシストのないステアリングと、見事な剛性のシャシーからは、濃密なフィードバックが伝わってくる。
好戦的なスポーツ390の見た目を裏切らないシャシーだ。安定性が高く正確。パイロットスポーツ4Sというタイヤで積極的に旋回したがるから、シリアスなエキシージでは得られない自由さもある。
グリップ状態からテールスライドへの推移は、相変わらず少しだけ読みにくい。ロータスはステアリングフィールに与え得る影響から、LSDの設定を避けてきた。
エミーラにはトルセン式のLSDが組まれるという。この挙動も、一味違ったものになるだろう。
それ以外の面で、シャシーは絶品。アクセルペダルの操作で積極的に姿勢制御でき、サーキット走行もお手のもの。小さなボディを活かし、郊外の道を滑らかにハイペースで走らせることも、最高の体験だ。