【未来を勝ち取れ】ルイス・ハミルトン 頂点に立ち続けるモチベーションとは AUTOCARアワード2021

公開 : 2021.06.14 18:05  更新 : 2021.06.14 19:24

ネガを自身の力に変える

ハミルトンはそのような状況を経て、同世代はもちろん、間違いなく他のどの世代よりも最高のレーサーとしての地位を確立した。彼は、スポーツや個人的な成功に付随する2つの要素、富とライフスタイルも手に入れた。

しかし、なぜか過去のどの英国人ワールドチャンピオンよりも、彼の名声、財力、外面的な特徴、ライフスタイルが本人にとって不利になっている。この違いは何なのだろう。コース外でのハミルトンの趣味(音楽やファッション、その他諸々)に人々が疑問を抱くのは、彼にとって今に始まったことではない。しかし、彼はそれに惑わされるのではなく、サーキットでの自分をさらに磨くための手段と考えてきた。

ルイス・ハミルトン
ルイス・ハミルトン

「すべての人に言えることではありませんが、クリエイティブなはけ口を持つことは重要です。今の時代、世界中でメンタルヘルスが問題になっています。だからこそ、ネガティブなエネルギーや感情をポジティブなものに変えて、何かを構築したり成長させたりする方法を見つけることは、プラスでしかありません」

「楽器やファッションを学び、自分の服をデザインするなど、何か新しいことを学ぶことで、集中して行動するための道標を見つけられます。わたしはそれをネガティブなことだとは思いません。わたしはずいぶん前から、このような(レース以外の)ことを始めました」

「何年も前は、気が散るとよく言われていましたが、実際にレースでは勝つことができました。今ではすっかり受け入れられています。昔は枠にはめられて1つのジャンルしかできませんでしたが、今は多面的であってもいい時代だと思います」

多面的。ルイス・ハミルトンは確かにそうだ。謙虚で、感謝の気持ちを忘れず、知的で、好奇心が強く、明瞭で、魅力的で、今では政治家のように運動をリードしている。また、優れたレーシングドライバーでもあり、あらゆる賞賛、栄誉、成功に値する人物でもある。ハミルトンがどこから来て、何を経験して頂点に立ったのかを考えると、その功績はより印象的なものとなる。

チャンピオンのガレージ

変化へのコミットメント

昨年、ハミルトンはロイヤル・アカデミー・オブ・エンジニアリング(王立工学アカデミー)と協力して、英国のモータースポーツにおける黒人の待遇改善を目的とした「ハミルトン・コミッション」を立ち上げた。彼は2019年末にメルセデスAMGのチーム写真を見て、モータースポーツ界全体における有色人種の数の少なさを反省したことがきっかけで、この活動を始めた。

「ハミルトン委員会には情熱を持って取り組んでいて、これまでに成し遂げてきたことを誇りに思っています。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・エンジニアリングは、政府関係者や黒人コミュニティの関係者など、経験豊富な人たちで構成された素晴らしいコミッションのもと、全面的に協力して素晴らしい仕事をしています」

ルイス・ハミルトン
ルイス・ハミルトン

「研究は終わりに近づいていますが、わたし達の提言が変化をもたらすものだと信じています。このコミッションはこれまで教育的な段階にあったので、これからスポーツに参加しようとしている若い人たちにはまだ影響を与えていません。しかし、それこそが目標であり、結果が出るまで諦めることはできません。数か月後には提言が出されるはずで、とても楽しみにしています」

負けず嫌い

2000年、15歳のハミルトンは、英AUTOCAR編集部が主催したイベント「Autocar Sideways Challenge」への招待を受けた。それを覚えているかどうか尋ねると、「覚えていますよ」と迷わず答えた。

「M3でしたよね?M3のクーペかな?わたしは本当に記憶力が悪いのですが、その日のことは覚えています。名前は思い出せませんが、ラリードライバーと一緒に走って、彼がクルマをコントロールしているのを見て、とても感動したのを覚えていますよ」

「わたしは負けず嫌いなので、当時はクルマをスライドさせてコースを走ることができず、とても悔しい思いをしました。でも、本当に素晴らしい経験でした」

ハミルトンのガレージ

F1を7回制覇したチャンピオンは、どんなクルマでお店に行くのだろうか?

「小さなクルマのコレクションを持っているんです。正直に言うと、長い間どれも運転していません。つい最近、メルセデスAMG GTでロサンゼルスに行ってきたんですが、いまは生活のすべてをサステイナブルで地球に優しいものに変えようとしているんです」

「クルマで迎えに来てもらうときは、メルセデスのEQCにするようにしています。モナコの自宅では、EQCとスマート・ブラバスを使っています。マクラーレンパガーニ・ゾンダもありますが、1年以上動いていないので、埃をかぶっているだけなんです」

「今でもEタイプジャガーのような古いクルマが好きですし、(フェラーリの)F40を持つことをずっと夢見てきましたが、世界はよりサステイナブルな方向に向かっていますよね」

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