【どんな層が購入?】日産「アリア」予約注文開始10日で約4000台受注 たった10日で実績公表のワケ
公開 : 2021.06.16 05:45 更新 : 2021.06.16 07:17
高級EV 最も売れたのは800万円級
さて、アリアの10日間で約4000台という点でポイントとなるのは、その内訳だ。
アリア・リミテッドは、搭載バッテリー容量が66kWhのB6グレードと91kWhのB9があり、それぞれに2WDとe-4ORCE(4WD)の設定がある。
日産によると、10日間で約4000台(正確には3936台)のうち、最も受注数が多いのは最上級グレードであるB9 e-4ORCE(790万円)で全体の45%となる1781台となった。
次いで、ベースグレードであるB6 2WDが29%となる1139台で、B6 e-4ORCEが583台、B9 2WDが433台と続く。e-4ORCEとしてみれば、全体の60%を占める。
一般的に、新型モデルの初期受注では最上級モデルが人気となる場合が多いが、B9 e-4ORCEは800万円級で日本車としては超高級車の部類に入るだけに、こうした受注実績に驚く人もいるだろう。
近年の日系EVの変遷を振り返ると、2010年代に登場して長年に渡りEV市場を下支えした三菱アイ・ミーブとリーフが主役であり、これら2モデルには高級車というイメージはなく、次世代を担う庶民派EVという認識を持つユーザーが多いはずだ。
一方のアリアは、やはり日本車としては高級EV、さらには超高級EVというプレミアムブランド車であることが今回の販売内訳からもあらためて分かったように思う。
テスラに流れたユーザーを取り返せる?
言わずもがな、プレミアムEVという市場はアメリカのテスラが創出した。
初代リーフが市場導入された2010年頃は、テスラはロードスターのみを販売する小さなベンチャー企業に過ぎなかったが、その後、自社で全面開発したモデルSが大ブレークし、モデルX、モデル3とラインナップを拡充してきた。
日産にとって、アリアのターゲットユーザーは当然、こうしたテスラの既存ユーザーであると同時に、リーフからのアップグレードするユーザーに対しても日産は期待をかけているはずだ。
ある海外メーカーの調査では、日本のリーフ購入者は年収1200万円超の人もかなり多いという。
となれば、リーフというクルマ自体は庶民派イメージでも、リーフユーザーの購買力はさらに上級車に向かい、リーフからテスラに流れた日産顧客も一定数いたと予想される。
そうした層が今回、アリア最上級グレード B9 e-4ORCEの販売予約をしている可能性が十分に考えられる。
なお、アリアの10日間で約4000台の予約受注者を年代別で見ると、多い順に50代(33%)、60代(31%)、40代(24%)、30代(9%)、そして20代(3%)となった。
今後さらに受注数が増えても、日本車として高額なプレミアムEVであるアリアに手が届く人は、懐が豊かなミドル層からシニア層が主流になるだろう。