【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・アルテオン 広く快適 走りは穏当 PHEVの利点は小さい

公開 : 2021.06.19 20:25  更新 : 2021.07.27 14:50

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

ボディ後半の形状変更によって、このワゴン版アルテオンは全高が19mm引き上げられたが、全長やオーバーハングはそのままだ。そのため、このフォルクスワーゲンの大型モデルは、ファストバックでもワゴンでも、BMWの3シリーズより大きく5シリーズより小さい。

フォルクスワーゲンがこのクルマをエステートやステーションワゴンではなくシューティングブレークと呼んだのは、上下幅が薄く傾斜したリアウインドウによるところだろう。Dピラーに深く食い込んだガラスハウスもそうだが、メルセデスのX218こと2代目CLSシューティングブレークを思わせるデザインだ。

シューティングブレークも、PHEVのeハイブリッドも、2021年モデルで追加されたバリエーションだ。eハイブリッドはゴルフGTEとほぼ同じパワートレインだが、出力はアルテオン用のほうが低い。
シューティングブレークも、PHEVのeハイブリッドも、2021年モデルで追加されたバリエーションだ。eハイブリッドはゴルフGTEとほぼ同じパワートレインだが、出力はアルテオン用のほうが低い。    OLGUN KORDAL

そのスタイリングは十分にドラマティックで、この荷室を拡げたアルテオンを、パサート・ワゴンなど一般的なワゴンモデルと見間違える心配はない。リアに回ると、LEDのテールライトは、マイナーチェンジを行ったファストバック2021年モデルのデザインが反映されている。

アルテオンのマイナーチェンジだが、基本的に、MQBをベースにしたメカニズムに大きな変更は加えられなかった。エンジンは、MTのみの1.5Lガソリンと、DCTを組み合わせる2.0Lのガソリンとディーゼルをキャリーオーバー。ただし、パンチはあるが音が不自然な240psのツインターボディーゼルは外された。

残ったエンジンは、主にエミッション関連の小規模な改修が施された。出力は150~200psで、200ps版の2.0 TDIは4WD専用、それ以外はFFのみの設定だ。また、現時点では未発表だが、280psの2.0 TSIもふたたびラインナップに顔を連ねるはずで、これにはクラッチを用いるハルデックス式4WDが組み合わせられることになるだろう。

大きな変更点はふたつ。まずは、今回テストするeハイブリッドの追加だ。基本的にはゴルフGTEと同じPHEVパワートレインだが、出力はゴルフ版の245psに及ばない218ps。アルテオンのほうがゴルフより重いのに、どうしてこういうスペックになったのかは理解しがたいところだ。

その構成は156psの1.4Lガソリンターボと、DCTギアボックス内に収めた116psの電気モーターとの組み合わせ。駆動用電力は、荷室の床下に配置された13kWhのリチウムイオンバッテリーから供給される。EV走行可能距離は、シューティングブレークが公称56km、より流線型のフォルムで1kg軽いファストバックは60kmだ。

もうひとつは、よりエキサイティングなヴァージョンだ。Rモデルがアルテオンにも加えられたのである。最高出力は320psで、最新のゴルフRと同じトルクベクタリング機構を備えた4WDシステムを搭載した。写真を見る限り、ルックス面の存在感も不足はなさそうだ。

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