【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・アルテオン 広く快適 走りは穏当 PHEVの利点は小さい

公開 : 2021.06.19 20:25  更新 : 2021.07.27 14:50

走り ★★★★★★★☆☆☆

軽快さや速さ、そしてスタイリッシュさを感じさせるアルテオン・シューティングブレークのようなクルマなら、エンジンを縦置きするレイアウトや6気筒の搭載などを期待したいところだ。

しかしながら、このクルマのベースとなっているMQBプラットフォームは、4気筒の横置きにしか対応していない。しかもこのeハイブリッドの場合、排気量はたったの1.4Lで、最高出力は156psにすぎない。

軽くない車重に強力とはいえないパワートレインの組み合わせゆえ、絶対的なパフォーマンスは高くない。だが、エンジンとモーターの協調は滑らかで、日常使いしやすいドライバビリティを生む。
軽くない車重に強力とはいえないパワートレインの組み合わせゆえ、絶対的なパフォーマンスは高くない。だが、エンジンとモーターの協調は滑らかで、日常使いしやすいドライバビリティを生む。    OLGUN KORDAL

それゆえ、パフォーマンス面に過度の期待は禁物である。たとえ、エンジンと電気モーターをあわせ持ち、システム総合での出力が218psに達するといってもだ。

メーカー公称のミニマムなウェイトは1734kg、50Lの燃料タンクを満タンにしたテスト車の実測重量は1783kg。このクラスではひどく重いというほどではないが、それでも無視できない重さだ。馬力荷重比は126ps/tで、せいぜいセアトレオン2.0 TSI 190あたりの、大衆車ブランドのやや速いハッチバックと同レベルにとどまる。

トランスミッショントンネル上の専用スイッチを押し、エンジンとモーターを最大限使うGTEモードを選ぶと、0−97km/h加速は7.1秒をマーク。0-100km/hの公称値が7.8秒なので、それよりは実測値のほうが上だが、競合するPHEVの水準からすれば遅いほうだ。

少なくとも発進は歯切れよく、駆動力のデリバリーはおおむねリニア。これに貢献するのが、フルスロットル時になめらかなシフトアップをする6速DCTだ。それらが相まって、アルテオンeハイブリッドは、エキサイティングさこそないが、楽に走れるものとなっている。

もちろん、日常使いにおけるパフォーマンスの質はむしろ適切といえるもので、その点では全体的に魅力度は高い。デフォルト設定ではEVモードで発進し、電気モーターだけのトルクを伝達するときのシフトチェンジはそれほどスムースではないが、EVとしてみればドライバビリティは良好だ。

モアパワーが必要な場合も、エンジンの掛かり方は上品で、穏やかに介入しはじめる。その際、駆動力のデリバリーの乱れもきわめて小さい。

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