【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・アルテオン 広く快適 走りは穏当 PHEVの利点は小さい
公開 : 2021.06.19 20:25 更新 : 2021.07.27 14:50
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
アルテオン・シューティングブレークには、DCCことアダプティブダンパーが標準装備される。これが、シャシー性能の幅を広げてくれる。とはいえ、実際にはデフォルトのセッティングであるコンフォートからほかへ切り替えるべき理由はほとんど見出せない。
スポーツモードにして、減衰力を高めることの利点が必要になるのは、運動性のスイートスポットを超えて走らせる場合くらいだろう。というのも、これは安定したロードホールディングと正確で整然とした方向転換を重視するクルマだ。BMWやメルセデス、そしてプジョーの一部に期待するような、アジリティやハンドリングの冴えは二の次だといっていい。
サイズのわりには俊敏で、山間路などもいいペースで走れるとはいえ、このシャシーにはスロットルでのアジャスト性には欠け、狭い道で車体が小さく感じられるような運転しやすさもない。ハードに走らせることを求めてはこないし、それをする甲斐もない。
とはいうものの、パサートよりは走り志向のドライバーに訴えかけるものがあり、スコダのオクタヴィアやシュパーブより運動性を味わえる。A級道路やB級道路では走りのプロセスを楽しめて、フロントにマクファーソンストラット、リアにマルチリンクを配したサスペンションはバタつくことなく路面に追従し、極端に浮き上がることもない。
ピレリPゼロによるグリップは、攻めた走りをしても限界を超えそうもないレベルにある。ステアリングの手応えの均一さは、残念なものがあるとはいえ、それは想定内。速度感応式の電動アシストは、少なくとも正確で一定に効くようチューニングされている。
コーナーへの進入は難しくなく、アンダーステア寄りのセッティングは明らかだが、狙ったラインから逸脱することもない。シャープさはまったくないが、信頼性は高い。