【英国へ初上陸】ジェネシスGV80 3.0Dへ試乗 7シーターSUV 既存上級ブランドに挑む
公開 : 2021.06.25 08:25
少々難有りといえる乗り心地と姿勢制御
英国編集部定番のテストコースを速めに走らせてみると、GV80は落ち着きのある乗り心地や姿勢制御の維持に苦労している様子。グレーチング部分の通過時は、ボディが横方向に振動。一方のタイヤに入力が加わると、ボディは上下と前後に揺さぶられる。
バイパスや高速道路など、波長の長い起伏に対しては優れた処理を見せる。しかし郊外の道を高速で走らせる場面では、あまり歓迎できない仕草も出てしまう。
アダプティブダンパーが備わり、スポーツ・モードを選ぶとボディロールは引き締まる。だが、少し付け焼き刃感が拭えない。
試乗車のGV80にはオプションの22インチ・ホイールが組まれていたが、路面状態が悪くなると振動とノイズが目立ってくる。上級モデルに期待するであろう乗り心地では、プラスに働かない。
20インチの小さいホイールを選択すれば、ホイールのバタつきは軽減できるはず。GV80へ高級車としての性格を最大限に求めるなら、ホイールは小さい方が良い。
とはいえ、GV80は従来の実用車的なSUVではない。全般的に車内は静かで、乗り心地も上質。扱いやすく、サスペンションに強い入力さえ加わらなければ、ブランケットに包まれたような流暢な走りに浸れる。
新開発だけあって、直列6気筒ディーゼルはジェネシスのストロングポイント。ランドローバーやメルセデス・ベンツのユニットと並べられるほど、レスポンスに優れ、力強く滑らかに回転する。ライバルを超えるほど静かでもある。
実用性や車内など長所は少なくない
ドライバーの期待通りに8速ATは変速をこなし、運転は安楽。低回転ではほとんどエンジン音が聞こえないこともあり、鋭い加速を難なくこなせる印象も受ける。姿勢制御や乗り心地、直感的な操縦性などは、モデル中期のバージョンアップに期待したい。
ジェネシスGV80を検討すべきかは、他のプレミアム・ブランドへの考え方に依存してくる。新しいブランドを受け入れられ、やや大胆で個性に欠けるスタイリングが好みなら、悪くない選択肢になりそうだ。
筆者は、一般的なブランドの高級車という提案が好きではある。だがGV80は、ジェネシスの他のモデルと同様に、お医者さんが乗るようなクルマに感じられる。容姿はハンサムだとは思うが、若々しさに欠け、違和感がないわけでもない。
新しいデザイン言語だからかもしれない。1年後なら違った印象を持っているだろう。その頃には英国の路上でも、高級車として存在感を示している可能性はある。
スタイリングに見慣れてしまえば、GV80のほかの長所にも惹かれるはず。メカニズムの洗練度は高く、実用的で、インテリアはラグジュアリーな雰囲気が強い。このカテゴリーのSUVで、充分な競争力は備わっている。
GV80は、新興のジェネシスとして最も大きく重たいモデル。オールドスクールな高級モデルらしい乗り心地や操縦性が、許せなくもないことは確かだ。
ジェネシスGV80 3.0D AWD ラグジュアリー(英国仕様)
英国価格:6万200ポンド(927万円)
全長:4945mm
全幅:1975mm
全高:1715mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:7.5秒
燃費:8.5-9.1km/L
CO2排出量:184g/km
車両重量:2300kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:278ps
最大トルク:59.8kg-m
ギアボックス:8速オートマティック