【ねらいは?】ホンダ・フィット1年目の改良 最近のクルマが頻繁に「改良」されるワケ

公開 : 2021.06.19 05:45  更新 : 2021.10.09 23:39

「2年ごと」やめたスバルマツダ

そうした2年ごとのマイナーチェンジ/改良をすでにやめているメーカーがある。

それがスバルとマツダだ。

スバルの代表車種「レヴォーグ」
スバルの代表車種「レヴォーグ

どちらのメーカーも、すべてのモデルは、ほぼ毎年のように改良を実施しているのだ。

こうした頻繁な改良は、商品力を高く維持するには効果的だ。スバルやマツダのように、少数の熱烈なファンが支えるというカラーの強いメーカーにとっては、有効な手段といえるだろう。

また、スバルとマツダは、トヨタホンダなどと比べれば規模が小さく、車種も少ない。そういう意味で、毎年の改良という面倒くさいこともやりやすいのだろう。

しかし、毎年のような改良にはデメリットがある。

当然、コスト高になり、その費用は新車価格となってユーザーが負担することになる。

また、クルマを購入したユーザーにとっても、「翌年にすぐ改良される」ことは、あまり愉快なことではないだろう。

「2年ごとの改良」は、逆にいえば「2年のあいだは変わらない」を意味する。昭和から長く続く慣習にも、よいところがあるのだ。

通信機能の進化 アップデート容易に?

しかし、ADASとコネクテッドの進化は、そうした慣習を待ってくれるほどゆっくりではない。

その対応として、新しい動きが出てきた。

「マツダ・スピリット・アップグレード」の対象車種となったマツダ3
「マツダ・スピリット・アップグレード」の対象車種となったマツダ3    マツダ

それが「ソフトウェアのアップデート」を販売済みのクルマにも対応するという動きだ。

トヨタは2020年9月から、先進運転支援システムの「トヨタ・セーフティ・センス」のソフトウェアのアップグレードを、販売済みの車両に実施すると発表している。

同じく、マツダも今年の2月に「商品性向上を目的とした制御プログラムなどの最新化サービス開始」と、同様のアップグレード・サービスの実施をアナウンスしている。

また、最新機能としてOTA(オーバー・ザ・エア)という技術の実用化も間近だ。

これは車載の通信機器を使って通信でソフトウェアをアップデートさせるというもの。

これまではカーナビの地図データなどでは実用化されていたが、クルマ本体の制御ソフトウェアのアップデートはおこなわれていなかった。

しかし、コネクテッド技術やADAS機能の進化にともない、OTAの必要性は高まるばかり。実用化される日は、それほど遠くないだろう。

OTAが実用化され普及すれば、進化の激しいADASやコネクテッド機能への対応は、飛躍的に簡単になる。

そうなれば、メカニカルな部分の改良は、じっくりと時間をかけるようになるのかもしれない。

つまり、OTAの普及とともに、また2年ごとの改良/マイナーチェンジが優勢になる可能性も高まる。

まだまだ、改良/マイナーチェンジのタイミングは、決まらないということだ。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事