【英国にアルピナを広めた男】フランク・シトナーに聞く アルピナB3 ツーリング AUTOCARアワード2021 前編
公開 : 2021.06.18 13:45 更新 : 2021.06.18 17:47
当時のBMWの中でベストのハンドリング
「エンジンは528iから降ろし、ドイツへ送り戻しました。クルマの注文を受ける頃には、アルピナの部品が頻繁にノッティンガムへ届いていました。コンバージョンを習得するため、技術者がブーフローを訪ねてもいます」
かなり手間のかかるプロセスだが、商業的には成り立ったらしい。アウディ・クワトロが2万400ポンド、BMW 528i SEが1万6925ポンドだった時代に、アルピナB9は2万4100ポンドで売られた。
初期の右ハンドル車の多くは、モータースポーツ関係の人物へ渡った。充分な資金を用意できる人たちだ。
「B9 3.5は、隕石のように道を走ります」。1983年、AUTOCARの試乗ドライバーを務めていた、ジョン・マイルズの興奮したコメントの1つ。彼はロータスのF1でヨッヘン・リントとチームメイトだった経験を持ち、優れたシャシーエンジニアでもあった。
「B9のハンドリングは、これまで試乗したBMWの中でベスト。中回転域は、スーパーカーと比較するべき味わいです。BMWの6気筒が、12気筒ユニットのような柔軟性も持ち合わせています」
「記載をはばかる速度域でも、当たり前のように走ります。ドライバーの多くが、通常のBMWよりB9の方が意のままに操れると感じるでしょう。アイドリングより少し上の回転数で、問題なく交通の流れにもついていけます」
「操縦性と乗り心地が融合し、長距離ドライブもこなせるオールラウンドな快適性を生んでいます。ソフトなサスペンションを備えたクルマ以上に」。こんな言葉が続いていた。
この続きは後編にて。