【ターボに並ぶ性能を獲得】ポルシェ・マカンGTS プロトタイプへ試乗 小変更で440psに

公開 : 2021.06.23 08:25

引き上げられた性能と魅力的なサウンド

高いパフォーマンスを苦もなく発揮し、スポーツ・モードを選択すると、高負荷時には刺激的なエグゾーストノートが高らかと響き渡る。アフターファイヤーの破裂音も、その後に続く。

ポルシェは速さに関する数字をまだ発表していない。オプションのスポーツクロノ・パッケージを組めば、従来のマカン・ターボと同等の、0-100km/h加速4.3秒と270km/hの最高速度は期待できるはず。

ポルシェ・マカンGTS フェイスリフト版プロトタイプ
ポルシェ・マカンGTS フェイスリフト版プロトタイプ

ちなみに現行のマカンGTSは、0-100km/h加速4.7秒で、最高速度は260km/h。決して遅いわけではない。

これまでのマカン・ターボはドラマティックさが足りなかった、と感じていたドライバーなら、新しいマカンGTSは試す価値がある。実環境での速さはそのままに、より魅力的なサウンドも楽しめるようになった。より力強く吠え上げる。

マカンGTSは刺激を強めながら、リラックスした側面も忘れていない。ドライブモードで、クルマの性格は顕著に変化する。ステアリングホイールのコントローラーでコンフォートを選べば、静かで落ち着いた特性へ切り替わる。

高められたエンジンの魅力は、相性の良い7速デュアルクラッチATが巧みに引き出してくれる。ギアボックス任せのATモードでも、ステアリングホイールのパドルを弾くマニュアル・モードでも、素早く確実な変速を決めてくれる。

知的な四輪駆動システムも協働し、トラクションも秀逸。さらにトップグレードのマカンとして際立つのが、抜群のハンドリングだ。

SUVらしくないダイナミックな運転体験

向上したエンジンのパフォーマンスを完全に受け止めるべく、シャシー側も応答性や操縦性が従来以上に磨き込まれた印象。ダイナミックなドライビング体験を求めてSUVを選ぶドライバーはいないと思うが、マカンGTSならそんな願望も許してくれる。

ポルシェらしく、改良は細部に至るまで徹底している。従来のGTSを支えていたスチールコイルはエアサスペンションに置き換わり、フロントで10%、リアで15%、レートが高められた。車高調整も可能で、スポーツ・モードでは10mm低くできる。

ポルシェ・マカンGTS フェイスリフト版プロトタイプ
ポルシェ・マカンGTS フェイスリフト版プロトタイプ

アダプティブ・タンパーも改良を受け、従来以上に高速な減衰力制御を実現したという。タイヤサイズは、フロントが265/40、リアが295/35というワイドな21インチ。ピレリPゼロ・コルサが標準だ。

ステアリングの重み付けはちょうど良く、SUVの中では群を抜いて感触に優れる。操る自信を生んでくれる。コーナリング時は横方向の動きを上手になだめ、ボディロールは最小限。高いグリップを活かし、見事な落ち着きを披露する。

マカンGTSの俊敏性を高めているのが、前後タイヤ間のトルク分配率をリアルタイムで可変させる、四輪駆動システム。さらにリアタイヤ左右の駆動力を操る、オプションのトルクベクタリング・プラスを組み合わせれば、さらなる強化も可能だ。

とはいえ、マカンGTSは軽くはない。プロトタイプに同乗した技術者は、1925kg近い重量になるだろうと話していた。この質量をシャシーは見事に受け止め、遥かに軽量なクルマに感じさせてくれる。

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