【開発の重要人物へ聞く】トヨタGRヤリス お手頃ドライバーズカーのベスト AUTOCARアワード2021 前編

公開 : 2021.06.21 13:45

トミ・マキネン・レーシングとの密接な関係

日本人技術者と、当時のWRCチームの運営をマネージメントしたトミ・マキネン・レーシングとの密接な関係を築いたのも、豊田氏だった。

「豊田さんの指示でフィンランドへ向かい、レースに用いるスポーツカー開発や、ラリーカーの技術に対して、現地チームとディスカッションを重ねました。彼らも4回は来日し、われわれも数えられないほどフィンランドを訪問しています」

トヨタGRヤリスの開発現場の様子
トヨタGRヤリスの開発現場の様子

「多くを彼らから学びました。当初から、GRヤリスを今後のホモロゲーション・モデルに想定していました。空力性能を向上させる低いルーフラインや重心高など、要件を協議しています」

「彼らもモチベーションは高く、ロードカーの開発には意欲的でしたね」。トミ・マキネン・レーシングは、四輪駆動システムの開発にも重要な役割を果たした。セリカGT-FOURは1999年に生産が終了し、トヨタの高度な技術には20年のブランクがあった。

齋藤氏が続ける。「質問できるスタッフは、トヨタには不在。セリカGT-FOURの開発技術のレポートは残っていましたが、内容を承認した人物は退職済み。ゼロからのスタートでした」

「この種の技術開発は、止めない継続が重要だと思います」。四輪駆動システムの重要性は、WRCドライバーがGRヤリスのプロトタイプを試乗した時に判明した。初期のクルマは荒削りすぎ、運転できるギリギリの境界だったという。

笑いながら齋藤氏が答える。「本当です。ラトバラさんとマキネンさんから、雨や雪、ターマックなど路面に応じた四輪駆動システムのマネージメント方法や、必要な変更部分を学びました。GR-FOURシステムの開発のカギです」

この続きは後編にて。

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