【開発の重要人物へ聞く】トヨタGRヤリス お手頃ドライバーズカーのベスト AUTOCARアワード2021 後編

公開 : 2021.06.22 13:45

次のステップへ進むことへの承認

押すと凹むほど軽量なバンパーの付いた、ヤリスに筋肉増強剤を打ったようなボディを見るだけでも、GRヤリスの仕上がりは正しいと感じられる。そして実際に運転すれば、期待に応えてくれる。

齋藤氏は、完成したクルマに満足しているはず。軽く仕上がったことには、特に誇りを感じているようだ。「可能な限り軽く作るため、多くの努力を投じています。アルミとカーボンを用いたボディや、最も軽量なエンジンと四輪駆動システムにも」

トヨタGRヤリス(英国仕様)
トヨタGRヤリス(英国仕様)

多くの課題を克服したと、齋藤氏が振り返る。最終プロトタイプのテストを終え生産の承認が得られた時は、さぞかしうれしい瞬間だったに違いない。

「実は、最終的な承認ではないと理解しました。豊田章男は、クルマを改良し続けたいのです。彼がわれわれに示したのは、現状でのOKでした。販売後に次のステップへ進むことへの承認でした」

「一般ユーザーやモータースポーツの関係者からフィードバックを得て、将来のクルマ開発へ活かす。その承認です」。冒頭の通り、齋藤氏にとってもGRヤリスは完璧なクルマではない。実際、まだ今後へ続いている。

ラリーだけでなく、ジムカーナやレース、ラリーレイドからのフィードバックも得られ始めています。四輪駆動システムのトルク分配やサスペンションの設定などを、学んでいるところです」

「われわれもレースシーンに関わり続けます。クルマをより強くするために」。と話す齋藤氏は、GRヤリスの改善手段をリスト化しているという。「数えられないほど沢山あります。20年も開発期間を失いました。まだ始まったばかりです」

これからの展開に、期待せずにはいられない。

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