【差を生むブランド力】輸入車 5月の登録台数ランキング 緊急事態宣言下、顧客を掴む2社

公開 : 2021.06.20 11:25  更新 : 2022.11.04 13:53

マクラーレン「内燃では得られぬエンゲージメント」

「ハイブリッドの場合は、内燃機関に対してバッテリーとモーターという避けられない重量増があります。これは、マクラーレンが徹底する軽量化とは対極に位置するもの。それらを積んだだけのハイブリッドでは、マクラーレンではなくなってしまいます」

軽量ハイブリッド・スーパーカー(PHEV)を名乗る新モデル「アルトゥーラ」について、正本氏はこう切り出した。

PHEVの新型車「マクラーレン・アルトゥーラ」を紹介する正本嘉宏 日本法人代表。「内燃機関では得られぬエンゲージメント」を追求したという1台。日本における登録・デリバリー開始後は、どのように市場の評価を受けるか注目したい。
PHEVの新型車「マクラーレン・アルトゥーラ」を紹介する正本嘉宏 日本法人代表。「内燃機関では得られぬエンゲージメント」を追求したという1台。日本における登録・デリバリー開始後は、どのように市場の評価を受けるか注目したい。    マクラーレン

「“環境性能がちょっといいので、エンゲージメントが薄まりました”なんていう製品は出せないのです」

「マクラーレンが出す以上は、モーターの特性、バッテリーの特性をどのように入れ込んで、お客様に新たな価値を提供できるのか? その発想が、なによりもマクラーレン流だと思っています」

「そしてもう1つは、(他社の電動化とは)スターティングポイントが違うということ」

「この10年間にわたり蓄積してきたカーボンモノコックの技術によって、モノコックを徹底的にさらに軽量化して、バッテリーのコンポーネントをしっかり入れられるスペースを作りました。これによって、普通のメーカーでは目をつぶらなければいけない重量増を完全に相殺しています」

「例えば他のメーカーは、“パワーが上がりました、でも重くなりました”という感じ。それがマクラーレンでは重量増を相殺することで、バッテリーとモーターのいい部分をいかようにでも“自由に使う”ことができる」

アルトゥーラの実車を目にした顧客の反応はいいという。

「うちのお客様は、運転に対してこだわりの強い方が多いので、マクラーレン流のハイブリッドとはこうなんだというのを、試乗車が揃った際にはお乗りになって理解して頂くことが大事」

「これまでのオイルくさいマクラーレンとも違う、先進のシステムを使った“発想の新しさ”に興味をもつ方もいらっしゃる。社会的な地位が高いお客様もいますが、次世代のハイブリッド・スーパーカーならご自分の置かれた立場からも選びやすい」と語り、エコという言葉に囚われない電動モデルの登場に自信をうかがわせた。

日本におけるデリバリーが開始された暁には、どのように販売台数を押し上げるか注目される。

5月の登録台数 トップ10は?

最後に、5月の輸入車の登録台数ランキング、トップ10を見ておこう。

5月の最多台数となる4327台を記録したのはメルセデス・ベンツで、前年同月比では160.8%。連続首位記録を75か月に更新した。

ランドローバー・ディフェンダー
ランドローバーディフェンダー    田村 翔

2位争いは激化し、BMWの2606台(同152.8%)に対し、息を吹き返したフォルクスワーゲンは2603台(同162.2%)と追い上げ、わずか3台差で決着がついた。

4位にはアウディが1911台(同178.3%)で続く。

5位はボルボが1ランクアップし、1198台(120.3%)を登録。5位が定位置だったBMWミニは60台及ばぬ1138台(同108.8%)でポジションを1つ落とした。

フルラインナップの布陣で快進撃を続けるプジョーが1060台(同206.2%)を登録し7位に上昇。8位はプジョーと入れ替わったジープが977台(同143.7%)で位置する。

9位には、新型ルーテシアのデリバリーが続くルノーが、625台(同199.0%)を登録し先月から1つポジションをアップ。10位には進撃を続けるランドローバーが602台(同466.7%)を登録して先月の13位から3つポジションを上げた。

このトップ10の登録台数をコロナ前となる2019年の5月と比較してみると、プラスに転じたのはランドローバー(254.0%)、プジョー(143.6%)、ルノー(126.8%)、シトロエン(118.8%)と、好調メーカーだけ。

このほかのメーカーのほとんどは2019年比では90%台に留まり、本当の意味での復活にはより長い期間を必要とするように見える。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事