【唯一無二のリアシート時間】メルセデス・マイバッハSクラス S 680へ試乗 ラストV12 前編
公開 : 2021.06.29 08:25
本当に滑空するかのように路面を進む
後輪操舵システムも装備が可能。最大で10度まで、リアタイヤがステアリングの操作に応じて向きを変え、狭い市街地でも驚くほどの扱いやすさを実現している。
S 680の特長が一番光るのは、市街地を穏やかなスピードで走る場面。エンジンの低回転域での上質さが、存分に発揮される。
同時に、磨き込まれたステアリングシステムと、通常は駆動力の31%が前輪、69%が後輪へ伝わる四輪駆動システムが組み合わさり、郊外の開けた道も得意分野。全長5469mm、全幅1921mmもあるクルマとは思えないほど、機敏に身をこなす。
メルセデス・ベンツS 580と同様に、最新のエアサスペンション、エアマティックも搭載。突出した姿勢制御と、乗り心地を両立させている。
その快適さは、既に高次元にあるW223型メルセデス・ベンツSクラスを凌駕するほど。細かな隆起が連続するような区間では、マイルドな揺れを感じることはあるものの、垂直方向の姿勢制御はエクセレント。
柔らかな足まわりを感じさせないほど見事にボディはすわり、平穏さを堅持する。これで不足を感じる人は殆どいなそうだが、さらなる上質さを求めるなら、一層高度なシャシー機能を追加することも可能だ。
Eアクティブ・ボディコントロールは、タイヤ毎にスプリングとダンパーを制御し、クルマを可能な限り水平に保つ機能。ロードサーフェイス・スキャンは、カメラ映像で路面を判定し、スプリングとダンパーを予め調整してくれる。
さらにカーブと呼ばれる機能は、コーナリング時にボディを内側へ傾けてロールを打ち消す。これらすべてが組み合わさると、S 680は本当に滑空するかのように路面を進む。
この続きは後編にて。