ダットサンGO

公開 : 2014.03.06 21:52

■どんなクルマ?

ダットサン・ブランドが30年の時を越えてカムバックする。それを告げるクルマがこのダットサンGOである。名高い自動車メーカーの大衆向けブランドという点ではダチアに近い存在と言えるが、インドのような新興市場をターゲットにする点ではダチアと異なっている。そのインドでのダットサン販売開始がいよいよ始まろうとしている。

GOのスタイリングは無難にまとめられている。目を引くところは、ダイアモンド形のグリルと、ボディを削り取ったような角形ヘッドライトくらいだ。かぼそい13インチタイヤは大きなホイールアーチには不釣合いだが、平凡なスタイリングに陥らないようデザイナー陣が最大限の努力をしたのがうかがえる。

ボンネットの中に収まるのは、日産マイクラ(日本名:マーチ)と同等の1.2ℓ3気筒ガソリン・エンジンで最高出力は68psとなる。日産のものよりわずかに非力だが、その代わりにダットサンGOには重さというハンデがないのだ。

このクルマの大きさは、全長3785mm、全幅1635mm、ホイールベース2450mmというものだ。参考までにスズキアルトでは、全長3580mm、全幅1680mm、ホイールベース2360mmとなっている。 

ダットサンGOにはABSが備わらず、エア・バッグも装備されていない。実のところ、リア・ウィンドウにはデフォッガーやワイパーといった基本的な安全装備すら備わっていないのだ。

■どんな感じ?

このクルマのはつらつとした印象は、ひとえに車両重量の軽さから来ている。

スロットル・ペダルは軽く足を載せただけで反応するし、高いギアで低回転から引っ張ることもできる。ミッドレンジには力強さがあり、回転計が4000rpmにかかると低い唸りが耳に届く。レスポンスに優れたエンジンは、都市部を走るのに非常に向いていて、3速に入れたままで街中を丸一日走り回ることができる。5段マニュアルは素早く操作できるし、クラッチは最新型のものが備わっている。

エンジンにムチを入れると、ダットサンGOは容易に3桁のスピード域に達する。われわれの計測では、0-100km/h加速に要する時間は15秒で、その速度域でも最小限の騒音レベルで巡航することができる。

不満な点を挙げるとしても、アイドリング時に感じる3気筒エンジンのわずかな振動くらいだ。それも回転を挙げていくとやわらぎ、クルージング・スピードでは収まってしまうレベルだ。

市街地での乗り味はしなやかなものだが、基本的な部分に固さがある。このため大きな起伏を超えると衝撃を感じるのだが、不整路での身のこなしは車格の大きなクルマのような乗り心地を味わえる。ざらつきのある路面を走行すると、ロードノイズの遮音性やサスペンションの働きがそれほど優れてはいないと感じられる。そもそも、低い価格設定で製造を行うために、ホイールハウス内には防音加工が施されていないのだ。

GOは視界が広くパワーステアリングが軽いので、取り回しがしやすく気軽にドライビングできるクルマと言える。それでもハイスピードでコーナーに飛び込むと大きなボディロールが発生する。十分なグリップはあるが、細いタイヤの上で車体が動き回るのが感じられる。しかし高速域では適度な安定感があるうえ、ステアリングの重みが増すので正確なフィーリングを得られるのだ。

インテリアを見ていくと、3本スポークのステアリングや計器類はシンプルそのものだ。大きなスピード・メーターの脇にはデジタル・ディスプレイが存在するだけで、そこに回転計、燃料計、(小さくて走行中に見るのが難しい)トリップ・メーターが表示される。

センターコンソールもラジオやCDプレーヤーの装備がない質素なものになっっている。GOはフロントにパワー・ウインドウを備えるが、そのスイッチはドライバー側にのみ存在する。それにリア・ウインドウは手動式である。シートの前後アジャスターは地金のもので、リア・シートベルトに自動巻き上げ機構は備わらない。

ドライビング・ポジションは快適で視界は開けている。人によってはダッシュボードのギア・レバーの位置が高く、奥に入り込んでいると感じるかもしれない。

しかしながら、室内空間はゆとりのあるものだ。ダッシュボード上にシフトレバーを配置し、スリムなシートを採用するなど、空間を効率的に活用したため開放感のあるインテリアとなっている。後席についてはレッグルームは適度なスペースが確保されているが、シートのサポート性には再考の余地がある。

■「買い」か?

GOが販売される国々では、低い価格設定と維持のしやすさがメリットになるだろう。2014年3月後半の発売開始時には、ダットサンは走行距離無制限の包括的な2年保証を付帯すると考えられる。

メーカーの話では、燃料消費率は20.6km/hということだ。ダットサンが日産のブランドだったことを覚えてる人も中にはいるだろうが、GOはその日産のディーラー網で販売される予定だ。このためダットサンを展開する地域に店舗が存在しない場合、彼らは自前の施設を用意すると話している。

テストした限りでは、GOにはエネルギッシュなエンジンとドライビングのしやすさ、それに広々としたインテリアが備わっており、価格設定を考慮するとなかなかの選択肢と言えそうだ。

(ニキル・バーティア)

車名

価格 NA
最高速度 NA
0-100km/h加速 15秒
燃費 20.6km/ℓ
CO2排出量 NA
乾燥重量 NA
エンジン 直列3気筒1198cc
最高出力 67bhp/5000rpm
最大トルク 10.6kg-m/4000rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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