【詳細データテスト】トヨタ・ミライ ゆったりした快適な走り 後席と荷室は広くない とにかく安い
公開 : 2021.06.26 20:25
結論 ★★★★★★★★☆☆
FCEVセダンがコンセプトカーの段階から脱しながら、まだ1台あたりの価格が億円単位だったのはそれほど昔の話ではない。おそらく、このミライでもっとも注目に値するのは、エントリーモデルが5万ポンド(約700万円)ほどで買えてしまうということである。
このジャンルにおけるほぼ最先端のテクノロジーを持ち、市場競争力のあるパフォーマンスと航続距離を備える、これほど説得力のある「セミ高級」セダンとしては、類を見ないほど低価格だ。
しかもミライは、先代のときから、リラックスして楽に乗れるという自身のキャラクターを見つけているようなのだが、それがこのクルマにはしっくりきている。
この新型ミライをさらに称賛すべきものとしているのは、業界全体で傾倒しているバッテリーEVの余波や、それによる恩恵のないところで、トヨタがこのクルマをオペレートしていることだ。おそらく、現時点でミライの弱点を挙げるとすれば、プロダクトそのものではなく、未発達な燃料供給ネットワークだろう。
たしかに、パッケージングには改善の必要がある。また、プレミアムなゼロエミッションの長距離移動手段としては、いまだ大型バッテリーを積むEVに分がある。しかしミライは勇気ある挑戦で、将来的に受け入れられていくだろうアイテムの持ち主だ。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
ミライは必要に応じて、発電時に発生した水を排出するが、メーターパネル横のH2Oボタンで強制的に排水することもできる。また、ナビゲーションで排水したくないエリアを設定することもできる。ガレージに止めておいたら床が濡れていた、というようなことを避けられて便利だ。
リチャード・レーン
ミライの現状は、Iペイスのそれを思わせるところがある。ジャガーのEVは、GTカーとしての魅力を生まれついて備えているが、100kW以上の充電ステーションが不足しているインフラの不備が、その美点を損ねている。水素ステーションの整備状況は、さらにお粗末だ。
オプション追加のアドバイス
航続距離の最大限を引き出す必要に迫られることがあるだろう。となれば、20インチホイールを履く最上位仕様は避けたい。おすすめは、中間グレードのデザイン・プラスだ。
改善してほしいポイント
・後席のパッケージングは改善してもらいたい。ミリ単位でスペース効率を突き詰めるべきだ。
・最優先事項というわけではないが、パワーが25%ほど増せば、さらに魅力的になるだろう。そこまでの出力を使うことは滅多になくても、訴求力が高まる。