【FRに近いRSトルク・リア】次期アウディRS3 プロトタイプへ同乗 5気筒ターボ搭載
公開 : 2021.06.26 08:25 更新 : 2022.08.08 07:30
漸進的にオーバーステアからドリフトへ
コーナリング時の挙動は終始ニュートラル。タイトコーナーに高めの速度で侵入しても、アンダーステアは大幅に抑え込まれている。スポーティなドライブモードを選ぶと、一層素早くノーズが向きを変える印象だ。
同乗した次期RS3のプロトタイプが履いていたタイヤは、オプション設定されなるピレリPゼロ・トロフェオR。滑らかなアスファルトで、素晴らしいグリップ力を生み出してくれる。
フロントタイヤとリアタイヤ間だけでなく、リアタイヤ左右へ分配されるトルクがリアルタイムで制御される。コーナー頂点までの確実なグリップ力と、脱出加速時の高いトラクションを実現させている。
そして次期RS3が獲得するであろう最大のストロングポイントは、コーナリングラインを調整できる自由度。積極的なドライビングモードに切り替え、ハイスピードでコーナーへ侵入してアクセルペダルを緩める。漸進的にオーバーステアからのドリフトに推移する。
助手席から見ている限り、簡単そうだ。何かきっかけを与える大きな動作も必要ない様子。カウンターを当てる量は控えめながら、パワースライドを長時間維持できている。
後輪駆動に近づけるRSトルク・リア
サーキット走行を終えて、定常円旋回用のスキッドパンに移る。RSトルク・リアと呼ばれるドライビング・モードを試してもらった。つまり、アウディを後輪駆動に近いクルマとして運転できるモードだ。
エンジンの過剰なパワーを利用して、リアタイヤを不安定な状態に持ち込める。サスペンションがバップストップに当たるほど、派手なドリフトも守備範囲のようだった。
次期RS3プロトタイプの助手席から筆者が降りると、どう感じたかノーバートが聞いてきた。これまで様々なアウディ製のモデルに乗ってきたが、最も印象的な体験の1つだったと彼に答えた。
ノーバートは、期待していた通りの感想だったと満足げだ。「開発初日から、多大な努力を費やしてきました。何か特別なものを生み出そうという、決意がありましたから」
新しいアウディRS3のステアリングホイールを実際に握るには、まだ数か月ほど待つ必要がある。しかし、従来より遥かに能力が引き上げられていることは間違いなさそうだ。
BMW M135i xドライブやホンダ・シビック・タイプR、メルセデスAMG A 45といったシリアスなホットハッチは、手強いライバルと競い合うことになるだろう。