【電動4ドアクーペとして】アルファ・ロメオGTV 復活の兆し 将来のフラッグシップに
公開 : 2021.06.25 06:05
入門モデルのブレンネロは2023年に発売予定
インパラートとステランティスのリーダーシップの恩恵を受けるアルファ・ロメオ最初のモデルは、同ブランド3番目のSUVである「ブレンネロ」だ。2023年初頭からポーランドでフィアット500Xやジープ・レネゲードの後継モデルとともに生産される予定で、将来のエントリーモデルとなる見込み。
ブレンネロは、シトロエンC4、プジョー2008、ヴォグゾール・モッカなど幅広いモデルに採用されている、PSAが開発したCMPプラットフォーム(現在はSTLAスモールと呼ばれている)をベースに開発されている。
STLAスモールは複数のパワートレインに対応しており、ブレンネロでは内燃機関とEV仕様が導入される予定だ。アルファ・ロメオ初のEVとなるブレンネロは、最高出力136psの電気モーターで前輪を駆動し、45kWhのバッテリーと組み合わせて、約320kmの航続距離を実現する。
一方で、STLAラージと呼ばれるプラットフォームも、アルファ・ロメオに大きな影響を与える。STLAラージはプジョーが開発したもので、現在のジュリアとステルヴィオを支えるジョルジオ・プラットフォームに代わるものとして、将来の内燃機関搭載のアルファ・ロメオの全モデルに採用される。
STLAラージはジョルジオとは異なり、電動化に対応するために開発された。これにより、高コストのプラットフォーム開発を行うことなく、マイルド・ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車を展開することが可能になる。これは、国内および主要輸出市場でますます厳しくなる排ガス規制の枠組みの中で、販売を拡大し、収益を回復するために不可欠なものと考えられる。
STLAラージはまた、マセラティの次世代ギブリやレヴァンテにも採用される予定で、ステアリングやサスペンションなど、ジョルジオ・プラットフォームで採用されている各種システムを新構造に適合させるための技術開発もすでに進められている。
先日、アルファ・ロメオの製品責任者であるダニエル・グザファムはAUTOCARの取材に対し、「ジョルジオ・プラットフォームの良いところは残しておきたい」と述べた。
ジュリアとステルヴィオがSTLAラージを採用する時期はまだ確定していない。しかし、関係者の間では、2023年と2024年に予定されている後継モデルは、新しい構造に切り替わるだろうと言われており、新型GTVにも採用される可能性がある。
GTVは、次期ジュリアやステルヴィオと同様に、マイルド・ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッド、さらには完全EVの設定も想定されている。
ステランティスは最近の発表で、STLAラージプラットフォームで最大800kmの航続距離を持つ完全EVが実現可能であることを示唆した。
この新プラットフォーム用の電動ドライブトレインの開発は、電気機器メーカーの日本電産と、フランスのバッテリーメーカーであるサフトとの協力のもと、すでに順調に進んでいるという。
スパイダーとミトも復活の可能性あり
復活が検討されているアルファ・ロメオのクラシックモデルは、GTVだけではない。インパラートは、個人的にスパイダーが好きであることを明かしており、同社のラインナップに復活する可能性を示唆している。スパイダー最後のモデルは、2006年から2010年にかけて生産された。
インパラートは、「わたしはスパイダーが大好きです。しかし、アルファ・ロメオを経済的に一定のレベルにまで引き上げてからお話します」と語っている。
また、10年にわたる経営立て直し計画の一環として検討されているのが、2018年に生産を終了したミトの後継モデルだ。確定したわけではないが、インパラートに近い関係者によると、ブレンネロと同じSTLAスモールプラットフォームをベースに開発され、新たに5ドアハッチバックのボディスタイルを採用して汎用性を高めたものになるという。ランチア・イプシロンの後継モデルと双璧をなす可能性が高い。
アルファ・ロメオというブランドに若い購買層を呼び戻すためには、ミトの復活が不可欠であると考えられているが、現在はSUVモデルが優先されているとの情報もある。