【全方位的な高い完成度】新型メルセデス・ベンツCクラス C 220dへ試乗 全グレードHV化 後編
公開 : 2021.06.28 19:05
快適なだけでなく操縦性も大幅に向上
その筆頭といえるのが、適正な重み付けと積極的なレシオが与えられたステアリング。後輪操舵システムも組み合わせれば明確に俊敏性が向上し、熱心なドライバーにも強く響くはず。
5代目Cクラスの中で、穏やかな部類のC220dには適さない活気ある操舵感かもしれない。しかし、都市部での運転が中心だというドライバーにとっても、メリットは大きい。最小回転直径は10.64mに小さくなり、低速域や駐車時の扱いやすさが違ってくる。
流れるような走りの質感を引き出しているのが、路面の凹凸を滑らかに吸収してくれるサスペンション。起伏部分を均し、路面のうねりなども上手に処理してくれる。
これらが融合し、狭い車線内の狙ったラインをたどることも簡単。クルマ全体のアクションも、見事にバランスしている。
シュツットガルトの南に広がる丘陵地帯を1時間ほど走らせたが、姿勢制御も際立って優秀なようだ。グリップ力も印象的なまでに高い。コーナーを激しく攻め込んでも、Cクラスは超が付くほど落ち着いている。
ボディロールはマナー良く制御され、シャシーはグリップ力の限界が近いタイヤを、的確にドライバーへ伝えてくれる。ダイナミクス特性でいえば、BMW 320d並に高いと思う。この2台を比較すれば、面白い内容になりそうだ。
試乗車には、オプションのアダプティブダンパーが装備されていた。少なくともこの仕様では、乗り心地でBMWを凌駕していることは間違いないだろう。
全方位的に極めて完成度が高い
ドライブモードをコンフォートにすれば、上質で心地良い移動を楽しめる。スポーツ・モードを選べば、明確に運動神経が引き上げられた運転に興じれる。アダプティブダンパーを備える、Cクラスのキャラクターの幅は広い。
5代目へ一新した、メルセデス・ベンツCクラスのパフォーマンスやスポーティさを確かめるには、さらに多くの時間を割いて試乗する必要はある。しかし短時間の運転でも、見事な訴求力を備えていること強く印象付けられた。
英国での多売グレードになるC220dですら、全方位的に極めて完成度が高い。突出した快適性と上質さを備えている。その伝統的な強みに加えて、クルマとの一体を感じさせるような、ドライバーを惹きつけ興奮させる能力までも獲得できている。
フルモデルチェンジを果たした、メルセデス・ベンツCクラスの仕上がりは素晴らしい。従来以上に幅広いユーザーへ響くことは、間違いなさそうだ。
メルセデス・ベンツCクラス C 220d(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万ポンド(616万円/予想)
全長:4751mm
全幅:1820mm
全高:1438mm
最高速度:244km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:19.2-20.0km/L
CO2排出量:131-138g/km
車両重量:1680kg
パワートレイン:直列4気筒1993ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:200ps/4200rpm
最大トルク:44.7kg-m/1800 -2800rpm
ギアボックス:9速オートマティック