【飛躍的に2代目を超えた】新型 日産キャシュカイへ英国試乗 1.3LマイルドHV 後編

公開 : 2021.07.04 19:05

欧州の日産にとって、欠くことのできないモデルがクロスオーバーのキャシュカイ。モデルチェンジされた3代目を、英国編集部が評価しました。

ブラッシュアップされたハンドリング

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
3代目へ一新した日産キャシュカイが本領を示したい部分が、先代と同様に好感触の走り。マツダCX-30やセアトアテカなど、厄介なライバルが登場している。ここで活きてくるのが60kgの軽量化と、新しい電動パワーステアリング・システムとなる。

リア・サスペンションは、試乗車のように20インチのホイールを選択すると、トーションビーム式からマルチリンク式へアップデートされる。四輪駆動のキャシュカイと同様に。フロントは、共通してマクファーソンストラット式が与えられる。

日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)
日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)

2代目からのハンドリングの進化は、運転してすぐに感じ取れる。驚くほど鋭くコーナーへ回り込み、ドライバーの腰のあたりを中心に気持ちよく向きを変えていく。活発な強みが磨かれている。

ボディロールは多少生じるものの、良くコントロールできている範囲。路面の凹凸でサスペンションに追加の負荷が掛かっても、しっかり路面を掴み続けてくれる。

積極的にステアリングホイールを操っても、フィードバックや手応えはあまり得られない。しかし、ドライバーの高ぶった気持ちを受け止めてはくれるだろう。

穏やかに運転したい場面では、洗練度の高いリラックスした特徴に浸っていられる。高速時でも風切り音は少なく、サスペンションノイズも小さい。

ただし、20インチという大径ホイールを履いているからだと思われるが、乗り心地の根底には硬さが常にある。高速で細かく波打ったような区間を通過すると、落ち着きを失う場面も見られるようだ。

少々残念に感じるドライブトレイン

トーションビームに19インチという組み合わせの方が、わずかにしなやかな様子。とはいえ、このクラスのクロスオーバーとして乗り心地は平均点以上だと思う。

3代目のキャシュカイで、少々残念に感じられるポイントがドライブトレイン。目下、英国で選べるエンジンは1.3Lの4気筒ターボガソリンのみ。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)は用意されない可能性が高い。

日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)
日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)

1.3Lエンジンはマイルド・ハイブリッドで、スターター・ジェネレーター(ISG)を採用するものの、電圧は12Vに留まる。ライバルの多くが、効率に勝る48Vのシステムを搭載していることは読者もご存知だろう。

電気モーターのアシストがあるとはいえ効果は小さく、低回転域ではやや鈍さを感じてしまう。ただし、2000rpmを超えれば充分なトルクが発揮され、活発さが出てくる。試乗車の6速MTを活用すれば、加速も不足はない。

エンジンは高回転域まで引っ張れるが、若干息切れ感が伴う。中回転域が1番印象良く仕事をしてくれる。

改良を受けたという、Xトロニックと呼ばれるCVTも試した。高回転域でパワーが絞られる印象は隠せるものの、アクセルペダルを4分の1以上踏み込むと、操作とは不釣り合いな加速の高まりが生じる様子。

アイドリングストップ機能との連携が良いともいえず、エンジンの停止や始動のたびに不自然な振動を生じていた。やや引っかかりのあるシフトレバーの手応えや、クラッチペダルがスポンジーな感触だとしても、MTの方をお勧めしたい。

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