【女性レーサーの活躍】Wシリーズ 2年ぶり2度目の開催 参加資格は「才能」のみ
公開 : 2021.06.27 18:05
ドライバーたちの仲間意識
5月のプレシーズンテストでは、パンデミックの影響でスペインのリカルド・トルモ・サーキットでの実施が困難になったため、ノースウェールズ・サーキットが会場として選ばれた。
パウエルは、体調管理や若い女性レーシングドライバーの指導などを行っている。
「わたし達にとってもシリーズにとっても、本当に厳しい時期だったので、みんなが集まってくれたことが信じられません。ブランズでの優勝以来、あまり運転していなかったので、再び運転することができてとても嬉しかったです」
また、前回チャンピオンのチャドウィックも戻ってくる。彼女は王座を守り、50万ドル(約5500万円)の賞金を手に入れようとしている。このような賞金は最近のモータースポーツ界では珍しく、パウエルが語る「オポチュニティ」の大部分を占めていることは明らかだ。
パウエルは次のように語っている。
「ジェイミーは、タイトルを守るべきチャンピオンであると考えなければなりません。彼女は昨年、フォーミュラ・リージョナルで1年間レースをしているので、経験を積み、上位に食い込んでくるはずです」
「また、ベイスケ・ヴィッセルやエマ・キミライネンもいます。2019年の最後の2戦では、エマとわたしが最前線で戦っていました。新しいドライバーにも注目しなければなりません。マルタ・ガルシアは、2019年のレースでも勝利を経験しています。ライバルを1人に絞ることはできませんね」
また、ボンド・ミューアは次のように述べている。
「彼女たちは並外れた女性です。ここまで来るには、キャラクターや個性、強い意欲がなければなりません。もしそうでなければ、今の彼女たちはいないでしょう」
Wシリーズの中では、みんなで力を合わせているという感覚があるのだろうか?パウエルは次のように答えている。
「みんなお互いに競い合っていて、誰にも負けたくないと思っています。でも、決まったチームがあるわけではないので、デイブやエンジニアとのミーティングでは、みんなが一緒になっているんですよ」
「みんなで話し合って、笑い合って、あれやこれやと議論する。みんなが本当のことを言っているかどうかは、わたしにはわかりません!みんなで同じホテルに泊まっていて、その仲間意識は本当に素晴らしいものです」
特殊な仕組みのWシリーズ
ワンメイクのWシリーズはチームの区切りがなく、前述の通りドライバーはマネーの持ち込みも必要ない。
「覚えておいていただきたいのは、Wシリーズは他のシリーズとは異なる仕組みになっているということです」とボンド・ミューアは言う。「わたし達はクルマを所有し、ドライバーの費用をすべて負担しながら、世界各地から20人を集めています」
「他のシリーズでは、1チームにつき2人のドライバーがいますが、わたし達はすべてのドライバーを集めることはできなかったでしょう。ロジスティックの観点からは、間違いなく正しい判断でした。振り返ってみると、2年目のシーズンが『Wシリーズ・ライト』で終わらなくてよかったと思います。今、わたし達は戻ってきてフルスロットルで走っています」
2021年にはテレビ視聴者の拡大が最大の目標となるが、チャンネル4が復活して英国での視聴者数を確保できることから、十分に達成可能といえる。
パウエルは、F1の8つのグランプリ、特にレッドブル・リンクとオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ、そして母国シルバーストーンでのレースに期待を寄せている。
賞金と知名度向上の機会が得られる今年は、パウエルだけでなく、門戸が開かれつつあるこのスポーツのすべての女性ドライバーにとっても、非常に重要な年となる。
「物事は良い方向に進んでいます。ですが、まだまだ時間のかかるプロセスであり、半年から1年の間に劇的に変わるものではありません。このようなことには時間がかかります。しかし、女子スポーツ全体にとっては、今が絶好のチャンスなのです。わたし達はようやく相応の評価を得られるようになりました」