【目指すは本物の四輪駆動】イネオス・グレネーダー 試作車へ試乗 ディフェンダーを再設計 前編
公開 : 2021.07.05 08:25 更新 : 2022.08.08 07:29
堅牢で高い実用性を備えた四輪駆動車
「わたしたちの目標は、本当に堅牢な四輪駆動車を作ることです。高い実用性も目標としていました。しっかり実現できていると思います」。と自信を見せるのは、イネオス・オートモビル社を率いるダーク・ハイルマン。
彼の話では、グレネーダーの最大積載量は1000kgで、牽引重量はブレーキ付きトレーラーで3500kgまで許容するという。ルーフキャリアには150kgの荷物が載せられる。
グレネーダーには、2種類のモデルバリエーションが当初予定されている。今回筆者が試乗した、5シーターのステーションワゴンと、2シーターの商用仕様のバンだ。どちらもホイールベースは2921mmに設定される。
少し遅れて、ダブルキャブのピックアップトラックと、7シーターのステーションワゴンも追加になるという。こちらのホイールベースは3175mmへ伸ばされるとのこと。
ターゲットはオフローダーを求める個人だけでなく、農園の経営者や大陸で事業展開する企業や政府機関など。事前調査で、高級志向へシフトしたディフェンダーやGクラスと、ラングラーとの間に大きなモデル・ギャップが存在していることが判明したらしい。
イネオス・グレネーダーのボディを見れば、初代ディフェンダーを思い浮かべるだろう。丸いヘッドライトに、クラムシェル・ボンネットとフェンダーの処理、フラットなガラス、ボタン状のドアハンドルなど、あちこちに面影が見える。
独自設計のラダーフレームにアルミボディ
ドアのヒンジは露出し、テールゲートは観音開き。ボディサイドのプロテクション部分には、必要な装備を後付けできるユーティリティ・レールが備わる。機能的なオプションが複数用意されるらしい。とにかくタフなルックスだ。
タイヤは265/70というサイズの、オフロード用ブリヂストン・デュエラーH/T。ホイールは6本のボルトで固定されている。悪路に向けた臨戦態勢は整っている。
加えてグレネーダーは、LEDヘッドライトなどモダンな装備も忘れていない。試乗車にはパーキングセンサーも付いていた。
ボディを注意深く観察すると、最新の密閉技術が採用されている。「このカテゴリーのクルマの場合、これまで最重要視されていた部分ではありません。水やガス、ホコリを車内へ侵入させない気密性は、注力した機能の1つです」。とハイルマンが説明する。
無骨なボディが載るのは、イネオス社が独自設計したラダーフレーム。フォルクスワーゲン・アマロックの構造開発を担当した、ドイツのゲシュタンプ社が製造を行う。いかにも強固そうなリジッドアクスルは、イタリアのカラロ社製だ。
シャシーは従来のディフェンダーに通じるレイアウトで、最先端という印象は受けない。しかし、突出して高い最低地上高を確保するという目的には叶っている。パワーステアリングは、ボッシュ社製の最新システムを採用する。
インナーボディはスチール構造で、ドアやルーフを含むボディパネルはアルミニウム製。これも初代ディフェンダーと類似している。
この続きは後編にて。