【F1復帰を記念】アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディションへ試乗 最も積極的に楽しめる
公開 : 2021.07.06 08:25 更新 : 2021.07.12 18:31
落ち着きやトラクションなどすべてを向上
サーキットを走らせてみて明確に感じられるのが、より磨き込まれた姿勢制御。そして、引き上げられたトラクション。ドリフトも、見事なまでに操縦しやすい。
そもそも通常のヴァンテージでも、非常に機敏で運転を楽しめるクルマではある。ステアリングを切ると、鋭くボディが旋回していく。4.0L V8ツインターボのトルクを解き放てば、いとも簡単にリアタイヤはスライドし始める。
このF1エディションでは、走りのシリアスさが一層強められた。クルマの落ち着きとトラクション、ドライバーへ伝わるフィーリングが、すべて高められている。荒々しさは抑えられつつ、従来より遥かに優れた印象を受けた。
V8ツインターボ・エンジンの最高出力は535psで、25psだけ増強されている。最大トルクは変わらず69.6kg-mだが、発生回転域がワイドになっている。
トランスミッションはトルクコンバーター式の8速AT。変速時にはトルクカットが生じ、最新のデュアルクラッチATほど仕事は瞬間的ではない。それでもレスポンスに不満はなく、低速域でのマナーは安楽。とても好ましい。
インテリアには、アルカンターラとレザーによる新しいコーディネートが施された。造形的なデザインは基本的に変わらない。14万2000ポンド(2186万円)の値段のクルマとしては、目に見えるプラスティックがやや多いように感じてしまう。
最も積極的に運転を楽しめるアストン
ステッチの施されたシートはサポート性に優れ、ドライビングポジションも良好。グラフィック的な部分は、もう少し改善しても良いだろう。
運転席に座ると窓の下辺が高く、視界に優れるとはいい難い。F1エディションでも、ヴァンテージのボディの大きさを感じてしまう。実際、ミラーを含めた全幅は2.15mもある。
しかし、外へ張り出したミラーを覗くと、グラマラスなリアフェンダー越しにウイングの姿が目に入る。見惚れてしまう眺めだ。
通常のヴァンテージも、従来どおり選べる。F1エディションの主張が強い容姿を好むかどうかは、個人的な感覚だとは思う。だが、最も積極的に運転を楽しめるアストン マーティンとして、ヴァンテージが再確立されたことは間違いないだろう。
アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)のスペック
英国価格:14万2000ポンド(2186万円)
全長:4465mm(標準ヴァンテージ)
全幅:1942mm(標準ヴァンテージ)
全高:1273mm(標準ヴァンテージ)
最高速度:313km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:264g/km
車両重量:1570kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:535ps/6000rpm
最大トルク:69.6kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック