【かつて存在】エアバッグの有効期限、今はどうなっている? メーカーの対応は

公開 : 2021.06.30 11:05  更新 : 2022.03.25 18:49

日本ではどのような対応だった?

メルセデス・ベンツ日本製品広報課に2002年9月4日に発行されたドキュメントを送って尋ねたところ、

「ドキュメントは現在無効となっており、同時にエアバッグの有効期限も無効となっております。エアバッグは販売店にて有償で交換させていただいております。当時の対応、個別の費用に関しては回答いたしかねます」との回答だった。

ボルボには運転席/助手席両方の交換指示がある。
ボルボには運転席/助手席両方の交換指示がある。    加藤久美子

それではフィアットアルファ・ロメオなどのイタリア/アメリカ車を広く扱うFCAではどのような対応だったのか。

「エアバッグ取り換えラベルについては本国においては2013年、日本においては2014年に関わるディーラー向けのサービスニュースを発行して廃止についてお知らせをしています」

「導入当初はその必要性(10〜15年でエアバッグを交換)が想定されていましたが、その後メーカーによる調査検証の結果、定期交換の必要がない事が確認されたため、取り換えラベルの貼付を廃止しました」

FCAのディーラーでエアバッグ交換の作業は要望があれば対応可能だが、現在までに実際には対応した実績はゼロとのことだった。

日本車はどうだろうか? そもそも、エアバッグ交換についての指示がこれまでメーカーから出されたことはあったのだろうか?

耐用年数 過去には国会質問も

日本車で初めてエアバッグが運転席にオプション設定されたのは1987年、初代ホンダレジェンドである。

運転席の全車標準装備は1992年に発売されたホンダ・ドマーニ以降だ。

日本の自動車メーカーを会員とする一般社団法人日本自動車工業会に聞いてみたところ

「自工会としては取り決めをしたことはないと思われます」との回答だった。

日本初のエアバッグを自社開発したホンダも同様の回答で、「30年経過したエアバッグも正常に作動することが社内で確認できている」とのこと。

なお、記憶に新しいと思うが日本においてはタカタ製エアバッグの大規模リコール(改修措置)がおこなわれてきた経緯がある。(2000〜2010年前後に製造された日本車が中心だが欧州車にも対象車種多数)

2018年5月より「改修措置を受けないクルマは車検を通さない」と定められている。

このタカタ製エアバッグの不具合問題に絡めて、第193回国会(平成29年6月)において本村賢太郎議員より「エアバッグに使われる火薬の寿命」に関する質問がおこなわれている。

詳細は割愛するが、エアバッグ(ガス発生器)の有効期限に関して短くまとめた内容は以下。

質問

自動車用エアバッグガス発生器は昭和61年度より火薬類取締法の適用除外となっている。

タカタ製エアバッグ不具合は同ガス発生器の経年劣化が原因とされている。

火薬類取締法の適用除外とすることは適切と言えないのではないか。

答弁

タカタ製以外のエアバッグガス発生器については、経年劣化を原因とする不具合は報告されていない。

政府としては現時点においてガス発生器を法の適用除外とすることは不適切とは考えていない。

「自動車用エアバッグガス発生器に対し有効期限を設定する」必要性について、国際的な動向も踏まえつつ、慎重に判断してまいりたいと考えている。

政府としては「不要」

要するにタカタ製以外では経年劣化を原因とした不具合は報告されていないので、政府としてエアバッグの有効期限は不要としている、というわけだ。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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