【祝 GTI誕生45周年】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45へ試乗 300ps
公開 : 2021.07.09 08:25 更新 : 2021.07.09 21:20
オンとオフを使い分けられるステアリング
走り始めて最初に心に響いてくるのが、ステアリングの反応。重み付けやレシオはちょうど良く、情報量も充分。ドライバーが望めば、機敏なハンドリングを楽しめることをクルマが教えてくれるようだ。
コーナーで攻め込んでいくと、明らかに手応えは増していく。同時に、目的地まで平穏に移動したいなら、その気持ちを邪魔することもない。
クラブスポーツ仕様のサスペンションが生むフロントの荷重移動の感覚は、日常的な速度域でも充足感が高い。ノーマルのGTIより、自信を持って操縦できる。
一方、もっと気持ちを高ぶらせてくれる運転環境が与えられても良かった。特にアニバーサリー仕様なら。ゴルフRの大きいシフトパドルもアリだった。アルカンターラ仕上げのステアリングホイールも、特別な45なら握りたいと思える装備だと思う。
試乗車にはDCCとフォルクスワーゲンが呼ぶアダプティブダンパーが組まれ、減衰力を15段階で調整できた。しかし、コンフォートとスポーツとの間を超える設定は、滑らかとはいえない英国郊外の一般道には向いていないようだ。
管理の悪い舗装を通過すると、コンフォート・モードでもサスペンションは振動を抑えきれない。インテリアのどこからか、振動音が発生してしまうほど。
通常のゴルフでも、8代目の設定は硬め。積極的な操縦性のために、しなやかさが犠牲になっている。クラブスポーツ仕様の短いバネの場合、さらに丁度いい塩梅の領域が狭くなっているのだろう。舗装したての道を走りたい。
ひと踏みで300psが放たれる興奮
クラブスポーツ45は、優雅に流れるような走りを魅力とするモデルではない。ラインや姿勢を自由に調整できるような感覚も、攻め込まなければ得にくい。ゴルフRの方が、より一体感を楽しめるかもしれない。
それでも、クラブスポーツ45の姿勢制御は見事なまでに高精度。正確な身のこなしは、クルマとの信頼関係に結びつけてくれる。
トルクステアの気配が加わっているが、多くの場面で300psのパワーとトラクションは、見事にバランスしている。低いギアからフルスロットルを受け入れてくれる。アクセルひと踏みで300psが放たれ、疑問を挟む余地がないほどエキサイティングだ。
アクラポビッチ・エグゾーストは、4気筒ターボのドラマチックさを引き立てる。だが、合成サウンドを完全に打ち消せるほどではなく、必須アイテムとまではいえないだろう。
ゴルフGTI クラブスポーツ45は優れたホットハッチではある。息を呑むほど速く、現代基準では優れたコミュニケーション力を備え、通常のGTI以上にシャープ。技術が要求される道では、ライバルより落ち着いてもいる。フォード・フォーカスST以上に。
ただし、クラブスポーツ45で得られるドライビング体験は、英国では2750ポンド(42万円)安い通常のクラブスポーツでも手に入ること。限定モデルとして45も悪くはない。だが筆者が選ぶなら、通常のゴルフGTI クラブスポーツの方になりそうだ。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45(英国仕様)のスペック
価格:3万9980ポンド(615万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:267km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:13.3km/L
CO2排出量:169g/km
乾燥重量:1461kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5000rpm
最大トルク:40.8kg-m/1800-5200rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック