【得意の小型xSUVxHV】トヨタ・ヤリス・クロス 1.5ハイブリッドへ英国試乗 高い総合力
公開 : 2021.07.10 08:25 更新 : 2021.08.31 13:45
好感触なステアリングとシャシー・バランス
駆動用のAC同期モーターが備わり、ハイブリッドのヤリス・クロスは低速域では電気の力だけで発進する。一般的なトヨタのハイブリットと同様に駆動用バッテリーは小さく、6kmほど走るとエンジンが始動する。
トランスミッションはCVT。アクセルペダルを深めに踏み込むと、少しざらついたエンジンノイズが聞こえてくる。
惰性走行時にはエンジンを積極的に停止することで、車内の静けさや燃費効率のバランスを取っている。一般的なユーザーが利用するであろう、交通環境に適した設定に感じた。
開けた道へ出れば、ヤリスの良い面が受け継がれているとわかる。ステアリングはダイレクトで反応が良い。市街地で扱いやすいだけでなく、郊外の流れの速い道にも問題なく対応できる。
シャシーのバランスも良好。箱型のボディが高めの位置に載っているにも関わらず、姿勢は常に安定している。クロスオーバーといえば、だらしない印象が付きものだったことを考えると、目覚ましい進歩だといえる。
とはいえ、ヤリス・クロスの設定は動的特性を高める方向ではなく、安定性を求めたもの。ドライバーの充足感でいえば、フォード・プーマに明らかなアドバンテージがある。
路面の凹凸などを通過した時の乗り心地は、少々硬め。舗装の剥がれた穴や隆起部分を乗り越えると、しっかりした揺れが車内へ伝わってきていた。今後、サスペンションの設定が煮詰められれば、改善される可能性はある。
カテゴリーで最も説得力を持つ1台
試乗車のヤリス・クロスは前輪駆動で、18インチホイールを履いていた。英国のユーザーの多くは、16インチか17インチを選ぶだろうとトヨタは予想する。タイヤが肉厚な方が、乗り心地の面では有利になる。
コンパクト・クロスオーバーが市民権を得た現在、ヤリス・クロスは買いの1台だといえる。最も魅力を感じるモデルではないかもしれないが、全体的な能力は高く、このカテゴリーで最も説得力を持つ1台であることは間違いないだろう。
トヨタは、単にハイブリッドのヤリスとクロスオーバーを掛け合わせただけではなかった。シリアスな競合モデルとして、万全に仕立ててあると感じた。
トヨタ・ヤリス・クロス 1.5ハイブリッド・アドベンチャー・プロトタイプのスペック
英国価格:2万6465ポンド(407万円)
全長:4180mm
全幅:1765mm
全高:1560mm
最高速度:164km/h
0-100km/h加速:11.2秒
燃費:23.3km/L
CO2排出量:98g/km
車両重量:1170kg
パワートレイン:直列3気筒1490c自然吸気+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps/5500rpm(エンジン)
最大トルク:−
ギアボックス:CVT