【なぜ?】日本車の新モデル アメリカで発表されるワケ スポーツカー/SUVで顕著
公開 : 2021.07.06 06:20
スポーツカーのみならずSUVも北米に注力
WRXやフェアレディZで明確なように、スポーツカー王国アメリカは、日本に比べて顧客層の間口が圧倒的に広く、ビジネスチャンスも大きいのだ。
とはいえ、北米市場全体でみれば、スポーツカー領域は限定的である。
そのため、ビジネス重視で見れば、やはりキモになるのはSUVである。
アメリカではSUVとピックアップトラックをあわせたカテゴリーをライトトラックと呼ぶ。ライトトラックは全需の7割近くに及ぶほど成長している。
本来、アメリカでの販売台数が多いボリュームゾーンは、C/Dセグメントセダンだったが、90年代後半からSUVシフトが段階的に拡大し、2010年代にはトヨタRAV4、ホンダCR-V、マツダCX-30などの北米コンパクトSUV市場が急拡大している。
そうした中で、日産はSUVやピックアップトラックのフルモデルチェンジが少ないという、車歴の長さから、メーカーから販売店へのインセンティブ(販売奨励金)が上積みされる商慣習が長きに渡り続き、日産本体にとって結果的に薄利多売の非効率な経営体質に陥っていた。
こうした負の連鎖を、内田誠CEOによる日産新体制は一気に断ち切ることに成功した。
その原動力となったのが、日本向け次期エクストレイルの兄弟車である新型ローグだ。
日本後回し傾向 ホンダは電動車で
日産としては、次期エクストレイルで日本市場重視のeパワーやPHEV化を進める一方で、ローグは北米事業の立て直し役として先行投入したことになる。
さらなる電動化としては、日産は2021年後半にアリアを導入するが、タイミングとしては、日本市場は欧米より早いかほぼ同時とみられている。
これは、ルノー/日産/三菱のアライアンス中で、各社の得意分野や得意地域への「選択と集中」において、日産は電動化や自動運転、そしてコネクティビティ技術で日本をグローバルでのベンチマークとする方針だからだ。
一方、ホンダの場合、EV導入の主要地域は現状、日本ではない。
ホンダeについては「欧州CO2規制ありき」(同車開発関係者)という姿勢が明確だ。
さらに、2021年6月末に量産車の名称が発表された、SUVの新型EVプロローグについても、米gmが開発中のEVプラットフォーム・アルティウムを使用するため、発売は当面、北米市場のみの方針だ。
プロローグは2024年初めに、またプロローグの兄弟車と見られるアキュラEVが2024年中の北米発売となることが明らかになった。
このように、メーカーやモデルによって「アメリカ先行」となるケースが目立つ。
今後、少子高齢化がさらなる社会課題となる日本では日本固有のクルマ文化を考えていく必要がありそうだ。