【ID.ブランドのGTI】フォルクスワーゲンID.4 GTXへ試乗 四駆の299ps 1.4tまで牽引可
公開 : 2021.07.12 08:25 更新 : 2022.10.05 11:45
低重心で果敢にコーナーを回り込める
鋭い初期加速と小回りの良さで、市街地での走りは非常に好印象。スポーティ度を高めたキャラクターのおかげで、後輪駆動のID.4より郊外の道との相性も良い。特に筆者が好きに感じたのが、鋭いハンドリング特性だった。
486kgもあるバッテリーはフロアパンに搭載され、重心位置はかなり低い。その低重心を活かし、果敢にコーナーを回り込んでいける。タイヤ1本毎に駆動力を調整できるトルクベクタリング機能も備わり、秀逸のバランスとトラクションを備えている。
一方で、それ以外の質感はさほどGTXらしくはない。可変レジオのステアリングの操舵感は正確ながら、充分なフィードバックを得られない。ブレーキはサーボで増強された印象が強い。回生ブレーキの動作によって、制動力の発生も階段状に変化するようだった。
扁平率の低いタイヤと軽くない車重にも関わらず、乗り心地は非常に優れていると感じた。ホイールは通常のGTXでは20インチになるそうだが、試乗車には21インチが組まれていた。タイヤサイズは前後で異なり、フロントが235/45、リアが255/40だ。
GTXの見た目は、GTI譲りといえる細部の特徴を備えている。フロントには光沢のある黒いメッシュが大きく張られ、小さなリアスポイラーも付加された。ルーフはブラックに塗られる2トーン。ルーフレールも付いている。
LEDヘッドライトと、ブレーキング時にX状に光るテールライトもGTX専用デザイン。リアバンパーは、ディフューザー風の処理が与えられている。
広大な車内空間が生む実用性は変わらず
実用性の高さは、通常のID.4と変わらない。フロアはフラットで、全長4582mmのクルマとは思えないほど車内空間は広い。通常でも荷室容量は543Lあり、分割式のリアシートを折り畳めばさらに拡大できる。
ダッシュボードやパネルには、GTX専用のカラーが用いられる。GTIに長年用いられてきた、トレードマークともいえるタータンチェックは採用されなかった。
クロスオーバーとして、格納式の牽引バーも付く。最大で1400kgまでのブレーキ付きトレーラーを引っ張れるという。
パフォーマンス重視の電動クロスオーバーは、すべての人を楽しませられるクルマではないかもしれない。だがフォルクスワーゲンの純EVラインナップとして、GTXは充分に納得できる内容の追加だと思う。
通常のID.4とは一線を画す積極的なパフォーマンスと、サスペンションのチューニングにより、より活き活きとした走りを楽しめる。ステアリングの感触は乏しいものの、航続距離は充分に長い。
次は純EVに移ろうと考えているのなら、フォルクスワーゲンID.4 GTXは一考の価値があるといえるだろう。
フォルクスワーゲンID.4 GTX(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万ポンド(770万円/予想)
全長:4584mm
全幅:1852mm
全高:1612mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:6.2秒
航続距離:479km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2149kg
パワートレイン:AC非同期モーター(フロント)+AC同期モーター(リア)
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:299ps
最大トルク:48.0kg-m
ギアボックス:−