【 eトロン系の主力に】アウディQ4 eトロン40へ試乗 203psで航続距離508km 後編

公開 : 2021.07.13 19:05  更新 : 2021.11.11 13:19

クルマ自ら判断してくれる回生ブレーキ

Q4 eトロンの動的性能は、スポーティさや積極性を感じられるほどではない。だが操作に対するレスポンスは良く、80km/h前後までなら加速はとても力強い。ミドルクラスのファミリーSUVとして、不足はまったくないはず。

高速道路でも、追い越しを余裕でこなせる加速力を引き出せる。低速域並みに鋭く速度が増していかないとはいえ、パワーに不満を感じることもない。

アウディQ4 eトロン40 スポーツ(英国仕様)
アウディQ4 eトロン40 スポーツ(英国仕様)

Q4 eトロンの特徴の1つが、前方の道路状況をクルマ自ら判断し、惰性走行するか回生ブレーキをかけるか、調整する機能を備えていること。ドライバーがパドルを弾いて、回生ブレーキの強さを変更することもできる。

この機能を活用し、車重2tもあるQ4 eトロンをコースティングさせるか、運動エネルギーを電気エネルギーに変換するか、上手に判断して運転すれば航続距離を伸ばせる。市街地中心の走行なら、482km以上の走行も可能になる。

110km/h前後の高速道路では、電費は4.8km/kWhくらい。満充電で370kmくらいが妥当なところのようだ。

純EVのファミリー・クロスオーバーとして、Q4 eトロンの走りはとても静かで上質で、煮詰められた印象を受ける。正確な操縦性に、感心するほど広い車内空間と不安のない航続距離も備え、多くの人がアウディに期待する新モデルといえるだろう。

しかし、必ずしもすべてが期待通りというわけではない。従来のモデルのようなデザインの訴求力も、上質で丁寧に仕立てられたインテリアも、受け継がれてはいないと思う。

先鋒に立つ重要モデルながら少し保守的

現代のアウディとして、動的性能は期待できる範囲に仕上がっている。印象的な加速力や操縦性を持ち、走りの質感に目立つ欠点はない。

とはいえ、テスラモデル3マスタング・マッハEのような、ダイナミックな俊敏性までは獲得していない。また、駆動方式が従来とは異なるパッケージングでありながら、あえて評価したくなるような成果には至っていないようだ。

アウディQ4 eトロン40 スポーツ(英国仕様)
アウディQ4 eトロン40 スポーツ(英国仕様)

同じMEBプラットフォームを採用するフォルクスワーゲンID.4と、一線を画すのに充分な完成度といえるだろうか。アウディに相応しい、ゼロ・エミッションの近未来ファミリー・クロスオーバーとして見えるだろうか。筆者は判断に悩む。

Q4 eトロンは急速に拡大する純EV市場で、アウディの需要な先鋒に立つことになる。だが、技術革新でブランド力を高めてきたアウディとしては少し保守的で、万全とはいいにくいスタートに感じられたというのが本音だ。

アウディQ4 eトロン40 スポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:5万2685ポンド(811万円/試乗車)
全長:4588mm
全幅:1865mm
全高:1632mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:8.5秒
航続距離:508km
電費:5.6km/Wh
CO2排出量:−
車両重量:2050kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:−

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