【リアウィングは不要】新型プジョー9X8 WEC参戦マシン公開 獅子の紋章掲げる
公開 : 2021.07.07 20:45 更新 : 2022.11.01 08:47
プジョーが世界耐久選手権に投入するニューマシンがお披露目。空力性能を追求した独自のデザインです。
11年ぶりのル・マン復帰
プジョーは、2022年のル・マン24時間レースに、最高出力680psのハイブリッド・パワートレインを搭載した新型ハイパーカー「9X8」で復帰する予定だ。このマシンには、珍しくリアウィングが付いていない。
プジョーがル・マンに最後に参戦したのは2011年だった。来年のFIA世界耐久選手権では、このル・マン・ハイパーカー(LMH)を2台体制で投入し、トヨタGR010ハイブリッドと対決する。
新しいLMHのルールでは、ボディワークの主要部分が規制され、パワートレインの総出力は680psに制限されているが、メーカーにはさまざまなデザインや技術を披露する自由が与えられている。LMHとLMP2ベースのLMDhマシンとの間では、性能バランスの調整が行われ、同じ土俵に立つことができる。
プジョー・スポーツの技術責任者であるオリビエ・ジャンソニは、新しいLMHルールによって、「クルマの性能、特に空力を最適化するための方法を発明、革新、探求する自由が与えられた」と述べている。
リアウイングは長い間、ダウンフォースを発生させるために使用される重要な空力デバイスの1つだったが、プジョー・スポーツによると、9X8の高い空力効率により、リアウイングなしで走行することができるという。
近未来的なスタイリング
ジャンソニはこう説明する。
「レギュレーションでは、調整可能な空力デバイスは1つだけと規定されており、リアウイングを特定しているわけではありません。わたし達の計算作業とシミュレーションにより、リアウィングがなくても効果的にハイパフォーマンスが実現可能であることがわかりました」
ジャンソニは、具体的にどの空力デバイスを調整可能にしたのかは明らかにしなかった。
9X8では、空力効率を高めるボディ形状のほか、ホイールリム、タイヤ上部のウィングベント、一体型ミラーなどを採用している。また、「爪」のようなデザインのヘッドライトなど、プジョー車の特徴も数多く反映している。
伝統と電動化を象徴
9X8というネーミングは、モータースポーツの伝統と電動化を意味している。
9という数字は、プジョーの歴代のル・マン挑戦マシンである905と908に使われており、Xはプジョーの4輪駆動技術とハイブリッド・パワートレインを表している。8は、プジョーの現在の市販車ラインナップ(308、508など)を示すものだ。
プジョーは、この9X8を来年のWECとル・マンに2台ずつ投入し、ドライバーには元F1ドライバーのジャン・エリック・ベルニュ、ケビン・マグヌッセン、ポール・ディ・レスタを起用する。
LMHクラスではトヨタと対戦するが、2023年以降は、LMDh形式で車両を製造する数多くのライバルたちとも刃を交えることになる。アキュラ、アウディ、BMW、フェラーリ、ポルシェは、すでにこのカテゴリーに参加を表明している。