【ハイブリッドの先駆者たち】後編 完成度高いプリウス 楽しいインサイト スペシャルなXL1

公開 : 2021.07.10 21:05  更新 : 2021.07.17 02:23

エコカーの未来は

そうはいっても、このアイデアが各メーカーに採用されることはなさそうだ。というのも、安全基準の要件は軽量シャシーと両立できず、アルミ以上に特殊な素材を使ったらXL1の領域に入ってしまう。

またクロスオーバー全盛の時代にあっては、空力に優れた2シーターボディは20年前ほど人気を得られないだろう。トヨタが証明しているように、たとえ型破りななにかを生み出しても、やはりコンサバティブなパッケージは必要なのだ。

並べてみると、XL1の空力デザインは際立つが、インサイトがそれほどかけ離れていないこともまた見て取れる。
並べてみると、XL1の空力デザインは際立つが、インサイトがそれほどかけ離れていないこともまた見て取れる。    Olgun Kordal

では、今後はどうなるのか。興味深いのは、歴史は緩やかに繰り返されるということだ。かつてのフォルクスワーゲンはディーゼルに固執していたが、今はウォルフスブルグのイーロン・マスクを自認するヘルベルト・ディースCEOの指揮下で、電動化戦略に賭けている。手段は違っても、方法論は同じだ。

ホンダはまだ試行錯誤の中にあり、ときどきコンパクトEVのEのように白紙から立ち上げた斬新な商品を発表している。しかし、ミレニアムの頃から、あまり確信なくそうした革新的な方向性を探っている印象だ。

トヨタはといえば、いまだEVなどの大幅な電動化には消極的で、中心に据えているのは初代プリウスのレシピに基づくハイブリッドだ。それでいて、時流に逆らうかのように、真剣に水素エネルギーにも取り組んでいる。社会的な転換点を迎えた時点で、対応できる準備を整えているのだ。

その一端がミライだ。表面上は普通だが、その下には普通ではないテクノロジーが隠れている。未来はこうなるのかもしれない。

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