ミニ・クーパーD
公開 : 2014.03.14 23:00 更新 : 2017.05.29 19:15
■どんなクルマ?
新しいF56という形式名の与えられたミニ3ドア・ハッチバックのターボ・ディーゼル・バージョンがこのクーパーDだ。このF56は、BMWの設計による一新されたプラットフォームと、3気筒または4気筒のエンジンを持つ、まったく新しいモデルだ。2001年に登場したR50ミニをルーツに持ち、先代のR56よりも遥かに洗練されており安全なモデルとなっている。
F56はすべてにおいてサイズ・アップされている。R56よりも98mm長い3821mmの全長、4mm高い1414mmの全高、そしてトレッドもフロントが34mm、リアが42mm拡大され、ボディの全幅も44mm広くなっている。ブート・スペースも30%ほど大きくなった211ℓ。そしてそれまでの50/50よりも便利な60/40分割リア・シートを装備する。
パワートレインが新しくなった一方、デザインは2つの前作から大きくイメージ・チェンジをすることはなかった。しかし、F56はR56よりも遥かにハンサムだ。特にLEDのヘッドランプ・リンクが特徴的だ。
インテリアは一貫した独特のテーマが貫かれている。スピードメーターとレブカウンターが正面に配置されたデザインは素晴らしい。トグル・スイッチも今回一新されている。また、メディア・パックXLは、BMWのiDriveスタイルのコントロールに一新され使いやすくなっている。
このクーパーDに搭載されるエンジンは、116ps/4000rpmのパワーと、27.5kg-m/1750-2250rpmのトルクを持つ1493ccの3気筒ターボ・ディーゼルだ。6速ギアボックスが標準となる。燃費は28.6km/ℓ、CO2排出量は92g/kmである。
■どんな感じ?
洗練されており、しかも美しく速い。テストしたモデルはまだ2000kmも走っていなかったため、各部に堅いところも感じされたが、それでも120km/h巡航でもささやく程度のサウンドしかない。最初にはにわかに信じられなかったレベルなのだ。
特にハイスピードでは驚くほどの安定性を持っており、1クラス上のクルマのようなフィーリングを見せる。テスト車両はオプションの16インチを履いていたが、それでも乗り心地は非常に良い。
多くのディーゼル・エンジンがそうであるように、低速時およびスロットル開度を大きくした場合には少々騒がしい。しかし、一旦安定したスピードになれば、本当に静かだ。
また、そのトルクフルな感じも印象的だった。2級国道や高速道路での追い越し加速も、エグゼクティブ・クラスのクルマのようにこなしてしまうのだ。スポーティさも失ってはいないが、R56のように殺気立ったものではなく、洗練されたものであった。
今回試乗したモデルには、グリーン、ミッド、スポーツと3段階に切り替え可能なドライビング・ダイナミクスがついていた。スポーツ・モードでは、ステアリング、サスペンションなどが些かアグレッシブになりすぎると感じたほどだった。
唯一このF56クーパーDに弱点があるとすれば、それは波打った道路で不安定になることだ。これは、短いホイールベースの影響によるところが大きいのだろう。もうすぐ登場する5ドア・ハッチバックは、3ドアよりも長いホイールベースを持つため、この弱点は解決されるかもしれない。
コクピットは広くドライビング・ポジションも良い。しかし、大きすぎるフェイシアがスペースを食ってしまうのと、ステアリングの調整が限られているのが残念だった。
■「買い」か?
ミニのディーラーに出かけて行って、最もお買い得に感じる£16,450(278万円)のクーパーDを購入することには何ら問題もない。通常の乗員と荷物を日常的に使うには最適のクルマだ。高速道路での落ち着きと、ミッドレンジの力強さも魅力的だ。
(ヒルトン・ホロウェイ)
ミニ・クーパーD
価格 | £16,450(278万円) |
最高速度 | 204km/h |
0-100km/h加速 | 9.2秒 |
燃費 | 28.6km/ℓ |
CO2排出量 | 92g/km |
乾燥重量 | 1135kg |
エンジン | 直列3気筒1496ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 116ps/4000rpm |
最大トルク | 27.5kg-m/1750-2250rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |