【4万ポンドで買えるBMW】BMW 420ixBMW i3xミニJCW GP 個性派3台を乗り比べ 前編

公開 : 2021.07.24 09:45

登場から7年が経っても近未来的なi3

そして純EVのBMW i3。英国価格は、3万9690ポンド(611万円)から。見た目は7年前の発売当時と大きく違わないものの、バッテリーの技術進化で性能は高められている。

2021年版では42kWhのバッテリーを搭載し、292kmから305kmの航続距離を得ている。あくまでもカタログ値で楽観的な距離ながら、初期のレンジエクステンダー付きi3を不要とするほどの実用性といっていい。

2020年10月には、20万台目のi3がラインオフした。当初の予想より低調ながら、モデルライフを伸ばすのに充分な販売台数は稼いでいるようだ。

登場から7年が経つとはいえ、i3の見た目は変更の必要性を感じさせない。カーボンファイバー製のコア構造は、この価格帯では珍しい存在だし、車内は開放的でデザインはモダン。高級家具のようにも見え、リサイクル素材が用いられ、訴求力が高いと思う。

BMW i3のパワーをオンにしても、車内は沈黙のまま。クルマとしての感覚的な違いを、強く印象付ける。純EVの静かな走りは珍しいものではなくなりつつあるが、内燃エンジンを搭載する他の2台と比べると、やはり際立つ。

純EVの、他を寄せ付けないような圧倒的なトルク感にも驚かされる。実際i3は、420iより加速が良い。0-100km/h加速を7.3秒でこなす。420iの7.5秒とはわずかな差とはいえ、穏やかに速い。

反面、i3の乗り心地は少しリラックス感を得にくい。スポーティとは呼びにくいデザインとは裏腹に、サスペンションはしなやかさに欠け、路面が荒れてくると突然振動が大きくなる。

2シーターの最も過激なミニ

果敢に高い速度域で攻め込まない限り、i3はクリーンに回頭していく。コーナリングスピードを求めていくと、転がり抵抗の低い細身のタイヤによる、燃費性能とのトレードオフを実感する。

改良を受けたバッテリーは、航続距離の不安を完全に払拭する程ではない。それでも、オーナーが利用シーンや充電ポイントに悩む回数は減るはず。

観音開きのドアは先にフロント側を開かないとリアドアが開けられなかったり、バッテリーの影響で荷室が小さいなど、不便に感じる要素もある。モニターのグラフィックは登場からの時間を感じさせる。充電ソケットの位置も、ベストとはいい難い。

それでも、i3のデザインには充分近未来感がある。むしろ登場の新しい420iを、最新には感じさせないほど。航続距離では及ばないとしても、車体構造などはフォルクスワーゲンID.3より先進的ともいえる。

BMW i3と好対照といえるのが、ミニJCW GP。ドアを開いて着座位置の低いセミバケットシートに座った瞬間から、違いは歴然。シートは2脚しか載っていない。

最も過激なミニとしてリアシートは降ろされ、広くなった荷室の中央には赤い構造強化目的のクロスバーが追加されている。急激な減速時には、大きな荷物がフロントシート側へ飛び込むのも防げる。

カーボンファイバー製のフェンダー・エクステンションや、眺めるだけでも満足感ある複雑な形のリアウイング、冬に雪かきできそうなフロントカナードなど、ルックスは鮮烈。足もとは、ブレーキディスクが良く見える18インチ・ホイールで決めている。

この続きは後編にて。

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