【マイナーチェンジで訴求力上昇】レクサスLC500h クーペ・スポーツパックへ英国試乗 前編
公開 : 2021.07.16 08:25
競合のグランドツアラーほど魅力的なドライビング体験ではないものの、LC固有の魅力を評価する英国編集部。ハイブリッドの500hへ試乗しました。
エキゾチックなLCがマイナーチェンジ
エレガントな見た目を持つレクサスLC。英国では珍しい存在で、街で目にした時に存在を思い出すようなモデルではある。
スポーツカーとも、マッスルカーともいえず、生粋のグランドツアラーというわけでもない。スタイリングは、サイエンス・フィクションに登場するような、別世界的な雰囲気もある。欧州で数多く売れないとしても、仕方ないのかもしれない。
しかし、一般的なクルマの文脈からは外れた位置にあるだけに、LCはひときわエキゾチックであることも確か。惹き込まれるような、不思議な魅力を漂わせている。
レクサスLCの販売が英国でスタートしたのは、2017年。2020年度には大きめのマイナーチェンジが施され、クーペのほかにソフトトップのコンバーチブルが追加されている。
エンジンは、コンバーチブルでは5.0L自然吸気V型8気筒ガソリンの一択。だがクーペでは、レクサスとしては最新のハイブリッドも選択できる。今回試乗したLCも、ハイブリッドの方だ。
システムは、3.5Lの自然吸気V型6気筒ガソリンエンジンに2基のモーター・ジェネレーターが組み合わされ、遊星ギアボックスが2組搭載されるという複雑なもの。レクサスはマルチステージ・ハイブリッドと呼ぶ。
駆動力を生み出す電気モーターのうち、大きな方は179psと30.4kg-mを発揮する。バッテリーの充電量が充分にあり、最高出力299psのエンジンのアシストが必要だと判断されると、最大値が発揮される。
サスペンションとステアリングを中心に改良
最新のLCでは、ハイブリッド用ソフトウエアをアップデートし、実際の運転環境でのレスポンスを引き上げたという。ただし、システム総合での最高出力は従来と同じ359ps。非公表だが、最大トルクも変わりはないらしい。
メカニズムのブラッシュアップとしては、サスペンションとステアリングがメイン。ドライバーとクルマとの一体感を強め、一層滑らかでリニアで、レスポンシブなドライビング体験の創出を目的としている。
サスペンションはバネ下重量を軽減するため、マルチリンク機構のより広範囲にアルミニウムが用いられた。コイルスプリングも軽量なものになり、アンチロールバーも同じ理由で中空になっている。
アダプティブダンパーはフロント側を再調整。リア側は、横方向の剛性が高められた。可変レシオのパワーステアリングも調整を受け、システムの取り付け部分が強化してある。
アルミホイールは20インチが標準。英国の上級グレードになるスポーツとスポーツ+を選択すると、鍛造の21インチが組まれる。タイヤは、初期モデルにはランフラットが採用されていたが、今では一般的なスポーツタイヤへ変更された。
ハイブリッドのLC500hでも、スポーツ+を選択すると、英国仕様ではV8エンジンを積むLC500と同様に、後輪操舵システムとトルセンLSDが装備されるようになる。だが今回の試乗車は、ミドルグレードのスポーツで、どちらも付いていなかった。