2014 F1グランプリ第1戦 オーストラリア・グランプリ
公開 : 2014.03.16 18:22 更新 : 2017.06.01 02:13
今年から2.4ℓV8から1.6ℓV6ターボ・ユニットとなり、トランスミッションも昨年までの7速から8速に。KERSに代わって運動エネルギーのみならず熱エネルギーも回生するERSの導入。1レース100ℓの燃費制限。最終戦の “ダブルポイント” 制の導入。そして、安全面のレギュレーション変更から様々な、そしてあまり評判の良くないフロント・エンドのデザインとなったF1。その注目すべき2014年は、第1戦、オーストラリア・グランプリで開幕した。
土曜日に行われた予選でトップを奪ったのは、バーレーンのテストから好調だったメルセデスのルイス・ハミルトン。2番手には地元オーストラリアはバース出身のレッドブルのダニエル・リカルドが並ぶ。3番手にはマクラーレンのニコ・ロズベルグ。そして驚くことに4番手には21歳の新人、マクラーレンのケビン・マグネッセンが付けた。フェラーリのフェルナンド・アロンソは5番手、6番手にはトトロッソのジャン・エリック・ベルニューが並んだ。また、昨年トトロッソの若手ドライバーテストで初めてF1のステアリングを握ったという19歳のダニール・クビアトは8番手に入った。
予想外だったのは、Q2でマクラーレンのジェームズ・バトン、フェラーリのキミ・ライコネン、そしてチャンピオン、レッドブルのセバスチャン・ベッテルが姿を消したことだ。それぞれ、チームメイトは、予選で4番手、5番手、2番手につけているので、あながちマシンの戦闘力が徹底的に悪いわけではない。確かに、予選の天候はめまぐるしく代わり、Q1はプライムとオプション、Q2、Q3はインターミディエイトとウェットのタイヤ選択を迫られる難しいコンディションであったことは確かだ。
開けて16日の日曜日。決勝レース。スタート直前、マルシアのジュール・ビアンキがスタートできず、2度目のフォーメション・ラップが行われ、レース周回は57周となった。
オープニング・ラップの1コーナーに最初に飛び込んだのは、予選3番手のロズベルグ。続いて、リカルド、そしてハミルトンというオーダー。このスタート時点からハミルトンのエンジンはミスファイアを起こしていたようだ。
また、このオープニング・ラップで、ウイリアムズのフェリッペ・マッサにブレーキをロックさせた小林可夢偉が接触。この2台は、2コーナーを見ることなくレースを終えてしまった。ちなみに、小林はレース後にこのインシデントについての処分が検討されることになる。
序盤のハイライトは、僅か4周でハミルトンがレースを終えてしまったこと。またその翌周の5周目にはチャンピオン、ベッテルもマシンをピットに戻しそのままリタイアしてしまったことだ。
13周目、それまで激しい追い上げで順調に順位を6番手までのアップさせていたボッタスが、右後ろのタイヤのパンクのため、コースサイドのウォールにタイヤをヒット。ホイールまでを壊してしまうアクシデントに見舞われる。そのタイヤとホイールの撤去のために、今年最初のセーフティカーがコースに入る。その間、トップチームは順次ピット・イン。最初のタイヤ交換を行った。
レース再開後の順位は、ロズベルグ、リカルド、マグネッセン、ヒュンケルベルグ、アロンソ、バトン、ベルニュー、ライコネン、スーティル、クビアトというオーダー。
トップから3番手まではそれなりに離れたポジションをキープしていたが、4番手以下のヒュンケルベルグ、アロンソ、バトン、ベルニュー、ライコネンまではそれぞれDRSが使える1秒以内という接戦だ。
33周目にポイント圏内の集団の中ではバトンが最初に2度目のそして最後のタイヤ交換を行う。翌周にはヒュンケンベルグとベルニューがタイヤ交換。以下、続々とタイヤ交換を行う。トップ10は、それまでがオプション、オプションというタイヤを使用していたので、最後はプライムでの走行だ。
このピットインでアロンソがヒュンケンベルグを抑えて4位に浮上。ヒュンケンベルグはこの後、順位を落とし、7位でフィニッシュする。一方、予選11番手からスタートしたバトンは、終盤アロンソをかわして4位となる。
結局レースは、1周目の1コーナーでトップにたったメルセデスのニコ・ロズベルグが終始トップを守りきり自身4勝目を上げた。2番手にはレッドブルのダニエル・リカルドが初めての表彰台。そして、何と3位にはこのレースがデビュー戦となったマクラーレンのケビン・マグネッセンが入った。マグネッセンは、F1初戦にして父、ヤン・マグネッセンのF1最高順位、6位を超えたのである。
4位にはバトン、以下、アロンソ、ボッタス、ヒュンケンベルグ、ライコネン、ベルニュー、クビアトというオーダーだった。19歳のクリアトは、F1最年少でのポイント獲得となった。
序盤に、ハミルトン、ベッテルのリタイアという予想外の大きなアクシデントがあったが、当初予想されていたメルセデス・エンジンの圧倒的有利というわけではないというのが開幕戦での結果だ。確かに、メルセデス・エンジン・ユーザーがトップ10のうち5つを占めたが、レッドブルのリカルドが2位に入り、トロ・ロッソのベルニュー、クビアトもとりあえず9位、10位とダブル入賞。レース・ディスタンスを走りきった。フェラーリは、アロンソが5位、ライコネンが8位と、今回は耐えるレース展開だったかもしれない。
次戦は1週間のインターバルを置いて、1月28日に1回目のフリー走行からスタートするマレーシア・グランプリだ。
追記
レース後、燃料流量規制のレギュレーションに抵触したとして2位のダニエル・リカルドに失格が言い渡された。レッドブルのチーム・プリンシパル、クリスチャン・ホーナーは、当然この裁定に不服であり、FIAに控訴する予定だ。
第1戦 オーストラリア・グランプリ結果
1 | ニコ・ロズベルグ | メルセデスAMG |
2 | ケビン・マグネッセン | マクラーレン・メルセデス |
3 | ジェンソン・バトン | マクラーレン・メルセデス |
4 | フェルナンド・アロンソ | フェラーリ |
5 | バルテリ・ボッタス | ウイリアムズ・メルセデス |
6 | ニコ・ヒュンケンベルグ | フォース・インディア メルセデス |
7 | キミ・ライコネン | フェラーリ |
8 | ジャン・エリック・ベルニュー | トトロッソ・ルノー |
9 | ダニール・クビアト | トトロッソ・ルノー |
10 | セルジオ・ペレス | フォース・インディア メルセデス |