【屈強なドイツ御三家へ挑戦】ジェネシスG80 2.5Tへ試乗 高級サルーンで欧州参入 後編
公開 : 2021.07.18 19:05
ヒュンダイが仕掛ける、大衆車ブランドからの脱却を目指すジェネシス。ドイツ御三家に挑む高級サルーンを、英国編集部が評価しました。
エンジンは2.2Lディーゼルと2.5Lガソリン
欧州市場へ挑む、ジェネシスG80の仕上がりはどうだろう。印象的なデザインと市場をリードする高度な技術、卓越したラグジュアリーさ、洗練されたパフォーマンスが特長だと、ジェネシスは説明している。
確かにG80は、その多くを体現していると思う。しかし本質的には、現段階では印象的で革新的な高級車とまではいえないだろう。いくつかの優れた技術を搭載した、従来的なサルーンだと感じた。
ジェネシスG80に搭載できるエンジンは、210psを発揮する2.2Lの4気筒ターボディーゼルか、304psを発揮する2.5Lの4気筒ターボガソリン。駆動方式は2.2Lが後輪駆動で、2.5Lが四輪駆動となる。
370psの純EV版は、2021年後半に追加される見込み。今回試乗したのは、2.5Lガソリンターボの四輪駆動だった。
サスペンションは、G80共通で一般的なスチールコイル。進行方向の路面をカメラ映像で捉え、減衰力を調整するアクティブダンパーが標準装備される。
G80はスポーツサルーンではない。だが、まとまりは良い。よりハイスピードで運転を楽しみたいと感じるドライバー層にまでは、ジェネシスは踏み込んではいない。刺激的に急ぐより、落ち着いて安楽に道を進みたいユーザーに向けられている。
競合で例えるなら、レクサスESやボルボS90、メルセデス・ベンツEクラスなどの側に近い。BMW 5シリーズやアウディA6、ジャガーXFのようなスポーツ度の高い上級サルーン側にはいない。
このクラスとして珍しいほどの隔離感
車内は広々としていて質感にも優れ、贅沢な気分になれる。特にナッパレザーがふんだんに用いられたリアシートに座り、前席背面のエンターテインメント・モニターを眺めて移動していれば。
インテリアの仕立ては非常に上質で、用いられている素材も高級なものばかり。このクラスに期待するであろう、最新のインフォテインメント・システムやデジタル技術も実装されている。
乗り心地はジェントルで、路面との隔離性も充分。ステアリングホイールやペダル類は軽めの操作感で、応答性も丁度良いと感じた。
前席側のサイドウインドウは二重ガラスが標準になり、後席側の窓もオプションで二重にできる。車内に響くノイズを打ち消す、アクティブ・ノイズキャンセリング機能も備わっている。
エンジンはコンベンショナルな2.5L 4気筒ターボながら、車内にいると存在感が非常に小さい。とても静かだ。
20インチのアルミホイールを履いた試乗車では、継ぎ接ぎの多い市街地では少しソワソワしたり、路面の粗さを感じる場面もあった。それでも、全般的な乗り心地は充分に褒められる。
G80のインテリアに身をおき、体験できる落ち着いた時間はとても印象的。このクラスのサルーンで、これほど外界との隔離感が高く、安楽にリラックスして運転できるモデルは珍しいと思う。