【ディーゼルからガソリンへ】アウディSQ8 TFSI フォアシュプルングに試乗 技術満載のSUV
公開 : 2021.07.23 08:25
高度な技術が満載の、伝統的なアウディ
今回試乗した英国の最上級グレード、フォアシュプルングには、車高調整が可能なアダプティブ・エアサスペンションに、トルクベクタリング機能を備える四輪駆動システムと、四輪操舵、アクティブ・アンチロールバーが標準装備される。
シャシーとドライブトレインに適用された技術の組み合わせは、ベントレー・ベンテイガでは選べない。ポルシェ・カイエンでも同等のメカニズムを得るには、かなりのオプションを追加しなければならない。
高度な技術が満載の、伝統的なアウディ製モデルに感じさせてくれる。感嘆するほどの、動的能力と贅沢さを堪能できる。
積極的に運転しても、すべての機能が働いていることを知覚できないかもしれない。しかし、これこそ真骨頂。すべての路面や状況を受け止め、優れたクルマとして安楽に運転できる。ドライバーは、余計な気をかける必要はない。
ただし、ダイナミック・モードのサスペンションは英国郊外の道には硬すぎる。ストロークが短く、ゴツゴツした振動を抑えきれない。コンフォートな設定でも、低速域では22インチ・ホイールの重さを感じることがある。
それ以外、多くの場面でSQ8は高級で高性能なSUVのユーザー層にヒットするはず。個人的には、コーナーを攻め込み大きく負荷がかかった状態での、少し軽めで繊細なステアリングフィールを好ましく思った。
手応えは余り感じられない。しかしグリップ力は非常に高く、狙い通りに回頭できない場面はほとんどない。
完成度の高い見事な高級車
パワートレイン以外でも、SQ8は従来どおり完成度が高い。ルーフラインは後端に向けて傾斜しているが、リアシートも荷室も、ゆとりある空間が確保されている。
インテリアの質感は、視覚的にも触覚的にも贅沢。ふんだんに投入されたデジタル技術にも、目が奪われる。
フォアシュプルングのSQ8には、ブラック仕立てのフロントグリルとドアミラーカバーが付く。ボディ色によっては効果的に見えないかもしれないが、試乗車のオレンジには良くマッチしていたと思う。街なかで目立つほど、ビジュアルの主張は強い。
大型SUVを高級車として選び、ステータスシンボル的に走りたいと考えるドライバーにとって、SQ8は買いの1台といえる。パーソナルな雰囲気があり、エッジの効いた大胆なスタイリングも特徴だ。車内のデジタル技術も、すぐに馴染めるだろう。
ドライビング体験にはクルマとの距離感が残るものの、豊かなパワーとインテリアで充足感は高い。手に入れられるうちに、ディーラーへ向かってはいかがだろう。
SQ8が2年前に登場した時、ディーゼルエンジンでも見事な高級車に仕上がっていた。今回ガソリンエンジンになったことで、その訴求力は一層高められている。
アウディは内燃エンジンを切り上げ、純EVへ注力しようとしている。技術満載でダイナミックな能力を備える、SQ8のようなモデルは、そう長くは作られないだろう。
アウディSQ8 TFSI フォアシュプルング(英国仕様)のスペック
英国価格:10万7810ポンド(1660万円)
全長:4986mm
全幅:1995mm
全高:1705mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:290g/km
車両重量:2270kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:507ps
最大トルク:78.3kg-m
ギアボックス:8速オートマティック