【なぜ?】日産スカイラインGT-R(R34)未登録/走行10km 6050万1円で落札のワケ

公開 : 2021.07.11 22:16  更新 : 2021.10.11 10:50

スタート額5000万円は高いのか?

今回出品されたGT-R(R34)のスタート額は5000万円で最低落札額の設定は無い。

この額を検証するために最近の中古車相場を調べてみると、前述のようにとてつもない額に跳ね上がっていた。

ニスモ・レストアドカーのR32スカイラインGT-Rプロトタイプ。
ニスモレストアドカーのR32スカイラインGT-Rプロトタイプ。    上野和秀

事の発端はGT-R(R34)が注目されたが需給のバランスが崩れたという些細なことだったと推測される。

しかし、一旦値上がりモードに入り高額でも売れてしまうとそれが相場になり、さらに値上がりを招くという図式にはまってしまった。

GT-R(R34)は中古車の流通数が限られていること、売る側の思惑が交錯し値上がりに拍車を掛けることになった。

今回出品された未登録新車のGT-R(R34)の5000万円スタートという額は、昨今の相場に照らし合わせれば妥当な額といえる。

使い込まれた同型車が3500万円以上することを考えれば納得できる。

3500万円のVスペ・ニュルといえど走り込んだ中古車である。各部にはそれなりの疲労(ヤレ)が見られ、それを新車同様に完璧な状態に再生するとなると1000万円では足りない。

最近は純正パーツの価格が上がっており、それよりもデビューから20余年経過したモデルだけに欠品が多く、仕上げには更に手間と費用が掛るからだ。

先ごろ登場したニスモによる新車以上といえる完璧なレストアが施されたGT-R(R32)が約5000万円することを考えれば、未使用新車の貴重さは計り知れない。

ラインを出たそのままの状態を保ったタイムカプセルなのだから。

6050万1円で決着 延長1時間5分の激戦

オークションは当初様子見で始まったが、ウォッチリストは早々に表示できる上限の999を超えていた。

動きがあったのが残り1日となった10日の18時過ぎ。ここで初の入札が入ったのである。

日産スカイラインGT-R(R34)VスペックIIニュルは、最終的にスタート価格を1000万円余り上回る6050万1円で決着がついた。
日産スカイラインGT-R(R34)VスペックIIニュルは、最終的にスタート価格を1000万円余り上回る6050万1円で決着がついた。    BHオークション

最終日となる11日には11時21分に2人目の入札が入り、16時59分に3人目が入札。大きく動き出したのが終了10分前で、ここから3名のバトルが始まった。

最後は2名のバトルが延々と続き、自動延長により決着がついたのは予定終了時間の1時間5分後だった。

オークションの常で、欲しい人が複数いれば競り合って値が上がり、さらにどうしても欲しいと人が頑張れば思わぬ額まで上がってしまう例を数多く見てきた。

今回のオークションはまさにその典型どおりといえた。

最終的にスタート価格を1000万円余り上回る6050万1円で決着がついた。

傍から見れば高価だが、熱烈なGT-Rと思われる落札者にとっては納得できる額だったに違いない。

それにしてもとんでもない額で落札されたものだ。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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