【詳細データテスト】アウディQ4 e-トロン 洗練の走り 中庸な動力性能 物足りないプレミアム感
公開 : 2021.07.17 20:25 更新 : 2021.11.11 13:18
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
Q4 e-トロンはバッテリー駆動の中型クロスオーバーSUVで、室内スペースや車載テクノロジー、そしてもちろんゼロエミッション車らしく洗練されていてレスポンスのいい走りが身上だ。
動力性能やハンドリング、デザインの魅力も重要な強みだと、アウディは主張する。ただし、それらの点に関して、われわれは疑問を感じているのだが。それについては、追い追い説明していこう。
ベースとなっているのは、フォルクスワーゲングループの戦略面で生命線となるEV用プラットフォーム、MEBだ。生産はドイツ国内ながら、アウディの工場ではなく、関連性の強いID.4をフォルクスワーゲンが製造しているツヴィッカウ工場で行われる。
全長と全高は、ほぼ完全にQ3とQ5の中間に位置する。ホイールベース内の床下には、ほとんど前後左右いっぱいに駆動用バッテリーが敷き詰められているので、重量はエンジン車のQ3とQ5を上回る。公称スペックでは、テスト車の仕様が2050kg、最上位グレードでは2135kgに達する。
メカニズムのバリエーションは3種類で、そのうちふたつは永久励起同期モーター1基をリアアクスル上に置き、後輪のみを駆動する。エントリーモデルの35グレードでは、最高出力が170psで、バッテリー容量のネット値は52kWh。テストした40グレードは204psで、使用できる電力は77kWhにアップする。最大トルクは、両車とも31.7kg-mだ。
トップグレードの50クワトロは、40と同じバッテリーだが、フロントに非同期モーターを追加し、合計で299ps/46.9kg-mを発生し、四輪を駆動する。最高速度は180km/h、0-100km/hは6秒をわずかに超える程度だ。テストした40の場合は159km/hと8.5秒で、テスラには見劣りしてしまう。
インゴルシュタットでは、Q4をアウディの最新デザインにフィットさせ、プレミアム物件として際立ったものに仕上げようと努めた。例の八角形グリルは当然のようにフロントの大面積を占めるが、大部分を封じた前面にいつまでも据え付けていることに、テスターの多くが違和感を覚えた。ボディの各部はアウディらしく、要素がうるさく、エッジが効いている。
しかしながら、ホイールベースが長く、キャブフォワードで、ボンネットが短いプロポーションのせいで、アウディのほかのラインナップと違和感なく馴染ませようという思惑を外してしまっている。どこから見ても、アウディのSUVとしては異色なものになっているのだ。
競合車が大胆で魅力的なエクステリアを好むユーザーを狙う中にあっては、そういうユーザーを生み出し育ててきたブランドとしては、このチョイスが不自然だという印象もある。クーペ風スタイリングのスポーツバックも用意されてはいるが、EVであるがゆえの特質の多くは変わらないと思ってもらって間違いない。