【詳細データテスト】アウディQ4 e-トロン 洗練の走り 中庸な動力性能 物足りないプレミアム感

公開 : 2021.07.17 20:25  更新 : 2021.11.11 13:18

内装 ★★★★★★★☆☆☆

中級マーケットで競合する新規設計のEVには散見されることだが、Q4 e-トロンも室内はじつに広い。それはキャビンだけでなく、荷室にもいえることだ。

このクラスでもっとも実用的な部類の5座SUV、たとえばホンダCR−Vあたりと比べても、キャビンのスペースは肩を並べる。ヒップポイントは手頃な高さで、ルーフラインは高いので、前席は頭上も膝下も潤沢にある。後席も、大人が快適に過ごすに十分な広さだ。

形状や構成、先進性はいかにもアウディのインテリアだが、質感や組み付け精度ではアウディ水準に届かないところもある。死角の大きさや見切りの悪さも気になる。ただし、広さについては申し分ない。
形状や構成、先進性はいかにもアウディのインテリアだが、質感や組み付け精度ではアウディ水準に届かないところもある。死角の大きさや見切りの悪さも気になる。ただし、広さについては申し分ない。    OLGUN KORDAL

荷室はSUVの水準からすれば浅めだが、これは床下にモーターやバッテリーを積むことによるもの。それでも、後席使用時のトノカバー下で520Lの容量を確保し、取り外しと折りたたみが可能なボードにより、シートを倒した際にはフラットな積載スペースが得られる。さらに、その下にも収納スペースを備えている。

運転席には調整幅が十分にあり、ドライビングポジションは快適で、サポート性にも優れている。しかし、このサイズのクルマとしては奇妙な感じを覚えるところもある。

ダッシュボードはバルキーでゴツく、角度の急なフロントウインドウの遠い基部から、乗員のほうへ伸びてきているような眺め。助手席側など、ダイニングテーブルのようにフラットで大面積だ。

また、Aピラーの傾斜もきつく、そのうえドアミラーが大きいので、前方に小さからぬ死角が生まれている。そのため、ラウンドアバウトやジャンクションで、全体を見回すのが難しい。いっぽう、短いボンネットは角を落としたアーチ形状なので、駐車や取り回しでノーズ先端位置の把握が非常にしづらくなっている。

いかにもアウディらしく、Q4の室内にはさまざまなテクノロジーが採用されている。また、アシンメトリックなダッシュボードが、階層をなす幾何学的形状であるのもアウディらしい。ルックスはスマートで、おおまかにみれば気分のいいインテリアだ。

しかし、素材のクオリティやフィッティングとフィニッシュは、4万5000ポンド(約630万円)級のプレミアムなファミリーカーに期待するレベルに達していない。ソフトタッチのマテリアルも使用されているが、ハードな部分は見た目も手触りも、驚くほどラフでプレーンだ。縁が尖ったところも少ないながらあり、これまでのアウディにはなかったようなパネル同士のギャップも、このクルマでは見つけられた。

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